●自社ゲームの強さでスイッチを成功させ、「普及」という強みを提供
 任天堂が開発・販売したゲーム機は、ファミリーコンピュータやスーパーファミコン、ゲームボーイにWiiなど大ヒットを記録したものもあれば、売り上げの面では伸び悩んだものもあります。

 しかし、ヒットしたゲーム機、言い換えればユーザー数が多いゲーム機であっても、「売れるのは任天堂のタイトルだけ」と言われることが少なからずありました。もちろんソフトメーカー産で売れたゲームもあるので、この指摘がそのまま正しいわけではないものの、任天堂ゲーム機の売り上げランキングを見た場合、同社のタイトルが上位を占める場合が多々あります。

 当時スイッチに懐疑的な層は、こうした風潮を指摘し、「任天堂のゲームしか売れないゲーム機に、ソフトメーカーは乗り気になれない。しかし任天堂一社だけでゲーム機のラインナップは支えられないので、スイッチは伸び悩む」と予想しました。

 この意見がどこまで正鵠(せいこく)を射ていたのかはともかく、スイッチが発売された2017年は、他のゲーム機向けに出したタイトルの移植作や、小規模な作品のリリースに留まるソフトメーカーが目立っていました。

 この点だけ見ると、事前の否定的な意見が正しかったように見えます。ですが、その逆風を吹き飛ばしたのは、他ならぬ任天堂自身でした。

 まずローンチタイトルとしてリリースした『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を皮切りに、同年だけでも『マリオカート8 デラックス』、『スプラトゥーン2』、『スーパーマリオ オデッセイ』、『ゼノブレイド2』と、1年足らずで強力なラインナップを並べます。

 翌年の2018年も、『星のカービィ スターアライズ』、『ドンキーコング トロピカルフリーズ』、『スーパー マリオパーティ』、そして『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』と、パワフルな作品が続き、スイッチ本体の販売台数が順調に伸びていきました。

 ユーザー数が増えれば、ソフトメーカーも関心を高めざるを得ません。マルチプラットフォームの対象にスイッチが加わることが多くなり、スイッチ専売や先行発売されるゲームも増えていきました。

 2024年3月期 第2四半期 決算説明会の資料(2023年11月公開)によれば、2018年3月期のゲームソフト販売数は6351万本で、このうちの2/3を任天堂が占めていました。ですが、2021年・2022年・2023年の各3月期では、販売本数に若干の上下こそあれ、その比率はほぼ1:1になっており、ソフトメーカーのタイトルも十分存在感を示しているのが分かります。

 自社のタイトルを力強く出してユーザー数を効果的に増加させ、ソフトメーカーが参入しやすい環境を作り上げた任天堂。「任天堂のゲームしか売れない」という否定的な見方を、ゲームを出し続けることでひっくり返したその底力は、感服するほかありません。

出典:ダウンロード配信の活性化にも配慮された3DSの通信機能。クリエイターの熱い期待も発表された「任天堂カンファレンス2010」レポート(後編)


WiiとDSの全盛期が一段落した2010年の任天堂カンファレンスにおいて、当時の

故・岩田社長が説明した任天堂ハードは任天堂ソフトだけが売れて

サードタイトルが売れないという分析を公にしていたときから14年。


ちょっと長いですが、上記引用記事にあるように、現時点での覇権ハードとなっている

スイッチに於いては、ブレスオブザワイルド、マリオカート8DX、あつ森、スマブラSPなど

異次元の売上を叩き出しているソフトが非常に注目されますが、サードのソフトも

任天堂との比率で、ほぼ1:1の比率での販売を誇っているということが日本のメディアより報じられています。


また、こちらの資料を見ていただければ分かる通り、この売上比率はあくまで

パッケージとDLソフトの併売タイトルでの比率となっているため

スイッチに数多くあるインディーズや、有名メーカーでもDL版のみ販売となっているタイトルは

集計対象外ということになっています。

そう考えると、かつての任天堂はサードが売れないというゲーム好き・国内メディアの間で

言われていたことは、スイッチにおいてはすでに幻想のものとなったということが言えるかと思います。

今回のマグミクスの記事においては、その辺りの分析が国内メディアの中では

的確にできているものとなっており、国内メディアがこのように報じている意義は大きいです。

このニュースはヤフーニュースの方でも取り上げられていましたので、結構な人の目にも触れているのではないでしょうか。

かつては公の場で言及していた、サードソフトの売れ行きが厳しいと言われた任天堂も

スイッチという覇権ハードの前では、こぞってサードパーティも有力タイトルを投入し

また、それを買い支える多くのユーザーが存在することを改めて把握できる状況であると言えます。


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