2026年9月10日、1995年にスーパーファミコンで発売された名作サウンドノベル『学校であった怖い話』がNintendo Switchで復活します。
D3パブリッシャーによる移植で、プレスリリースによると、本作は七不思議をテーマにした怪談を聞き手となって楽しむアドベンチャーゲームで、クイックセーブ/ロードや巻き戻しといった便利機能を備えた移植になっているとのこと。
ファミ通の記事でも、語り部が披露する怪談を読み進め、選択肢や順番で物語が大きく変化するマルチエンディングの形式を採用していると解説されています。
90年代に多くのプレイヤーの心をつかんだこの作品が、現代に蘇るのです。
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作品概要 – 6人の語り部と膨大な分岐
本作の特徴は、語り部システムにあります。
主人公は新聞部に所属する高校生で、学校の七不思議を取材するために6人の先輩・同級生から怪談を聞いていきます。
語り部の順番や途中の選択肢によって話の内容が変わり、後半になるほど恐怖感が増していく構成が見事だとゲームカタログでは高く評価されています。
6人全員の話を聞き終えた後には「七人目」に関わるシナリオが展開し、なぜ7人目が現れなかったのか、学校に秘められた真実とは何かといった謎が明かされるなど、多岐に分岐する結末が待っています。
こうしたシステムにより、同じ語り部でも順番を変えるだけで全く異なるエピソードが展開し、プレイヤーは自分なりの攻略チャートを考えながら何度も遊ぶことになります。
あるnoteのレビューでも、6人×6通りで最低でも36話分の物語を楽しめ、短編集形式により一話ごとに休憩しながら長く楽しめると評価されていました。
それぞれの話は、見た目も性格もバラバラな語り部たちの個性が際立つように作られており、スポーツマンの新堂誠、人の負の側面を語る荒井昭二、トイレばかりの怖い話をする細田友晴、キザでネタに走る風間望、冷たい美女の岩下明美、明るくノリの良い福沢玲子と、怪談の内容より語り部のキャラクターが怖いと評されるほどです。
SFC版ではキャラクターのビジュアルがやけに老け気味に見えますが、これは実際開発したパンドラボックスの社員が出演していることによるものです。これはこれで味がある。(笑)
キャラクターの強烈さについては、別のレビューでも「明るいけど話はかなり怖い福沢玲子」や、「トイレの話しかしない細田友晴」といった印象的な紹介がされており、実写取り込みのビジュアルがキャラクターへの愛着を強めてくれるとも語られていました。
プレイヤーは語り部たちから直接話しかけられる形で物語を聞いていくため、自分が教室で怪談を聞いているような没入感が味わえます。
恐怖を彩るピアノ主体の音楽
『学校であった怖い話』を語る上で欠かせないのが、渡部陽子さんによる楽曲です。
SFC版の音楽を担当した彼女はパンドラボックス出身の作曲家で、今回のNintendo Switch版にもその原曲が収録されています。
ゲームカタログは「各語り部のテーマや七話目のBGMはピアノ演奏で、どの曲も人気が高い」と評しており、実際にプレイヤーからも美しいピアノ旋律が作品の恐怖と切なさを引き立てているという感想が多く聞かれます。
短い楽曲ながら印象に残るメロディが多く、特に七話目のテーマはオルゴールのようなピアノの音が静かに鳴り響き、物語のクライマックスをさらに盛り上げます。
前述の通り、スタッフが各語り手を演じていますが、渡部陽子女史は福沢玲子役で出演しています。
今回のSwitch版には当時のサウンドトラックを再現したCDが同梱される限定版もあり、ファンにとっては貴重なアイテムとなるでしょう。
個人的にお気に入りの学校であった怖い話の楽曲を幾つかご紹介しますので、是非聴いてみてください。
シリーズの広がりとアパシー
『学校であった怖い話』は単独の作品にとどまらず、その後『アパシー・シリーズ』として大きく広がりました。
2022年発売の『アパシー 鳴神学園七不思議』では、原作をベースにしたリブート作品として新シナリオや過去作のシナリオを大量に収録し、テキスト量は文庫本30冊分に相当する約300万文字、エンディングは500以上という驚異的なボリュームになっています。
プレイヤーはマンモス高校「鳴神学園」で新キャラクターたちとともに学園七不思議を取材し、膨大な選択肢によって多様な結末に辿り着くのです。
あるレビューはこの作品を「短編集だけど大作以上のボリュームを持つノベルゲーム」と評し、選択肢一つで物語の根幹設定まで変わってしまうカオスさが魅力だと述べています。
シリーズはさらに、2025年に稲葉百万鉄氏とのコラボから生まれたスピンオフ作品『アパシー 鳴神学園霊怪記~旧校舎の怪異~』を発売しました。
レビューでは「シリーズの特徴である分岐やエンディングの多さがほとんどなく、エンディングは6個ほどで物足りなさを感じた」と指摘されているものの、プレイヤー自身が主人公となって行方不明の坂上修一を探す構成や、新旧キャラクターが登場するファンディスク的な魅力には一定の評価があります。
さらに、原作者飯島多紀哉氏の同人サークル「七転び八転がり」からはパソコン向けのビジュアルノベル版や書き下ろし小説など多くの派生作品が生まれており、シリーズは同人と商業の垣根を越えて拡大し続けています。
Nintendo Switchでも『アパシー 男子校であった怖い話』などの作品が配信されており、ファンはさまざまな角度から「学怖」の世界を楽しむことができます。
管理人の感想 – 楽しみと不安
私は1995年のスーファミ版をリアルタイムで遊んだ世代で、このゲームがホラーアドベンチャーの金字塔として今なお語り継がれている理由を実感しています。
以前レビューした街と似たジャンル、実写という(学校であった怖い話は一部実写)表現方法で似ている部分はありますが、この作品はまた街とは別ベクトルで魅力に溢れた一作です。
実写取り込みによる怪しげな雰囲気、毎回新しい発見のある膨大な分岐、そしてピアノが染み入る哀愁の楽曲——どれを取っても唯一無二の作品でした。
今回のSwitch版は当時の内容をそのまま収録しつつ、どこでもセーブや巻き戻しといった便利機能が追加されているので、周回プレイが快適になることは間違いありません。
あまりにも膨大な分岐に、全ての物語を見ることを諦めてしまった往年のユーザーにこそおすすめできると言えるのでしょう。
また、限定版には飯島多紀哉氏書き下ろしの小説やサウンドトラックが付属するため、昔からのファンにはたまらないアイテムです。
一方で、価格や販売方法には少し不安もあります。とあるサイトの管理人は限定版の価格(10,978円)について「サウンドトラックと小説を分けて二種類の限定版を出す売り方が怖い話だ」と苦言を呈しており、復刻作品で1万円を超える価格設定には賛否があるようです。
私もサントラと小説が別々の限定版になっている点は気になりますが、SFC版サントラへの熱い思いがあるので結局どちらも購入してしまいそうです。ゲームそのものがダブってしまうのは痛し痒しですが…。
さらに、1990年代のゲームとしては驚異的だったシナリオ分岐に今のプレイヤーがどう反応するかも興味深いところです。
快適になったとはいえコンプリートには相当な労力が必要ですし、隠しシナリオは特定の条件で6人分の話を特定の結末にするなど攻略難度も高いと評されています。
「膨大な分岐を楽しめる!」と受け取るか、「作業が多すぎる…」と感じるかは人それぞれでしょう。
それでも、当時中学生だった私は初めてこのゲームで「選択肢が世界を変える」感覚を味わい、語り部たちの奇妙な魅力と恐怖に引き込まれました。
現在もアパシー・シリーズに手を伸ばし続けており、鳴神学園七不思議の底なし沼のようなボリュームやスピンオフの実験的な試みに驚かされています。
Switch版『学校であった怖い話』を遊びながら当時の記憶と新たな体験を照らし合わせ、今後のシリーズ展開や飯島氏の書き下ろし小説などにも期待したいと思います。
まとめ – 今こそ学怖に触れるべき理由
学校の七不思議というシンプルなテーマに、個性豊かな語り部たち、膨大な分岐、そして美しいピアノの旋律が絡み合った『学校であった怖い話』は、今なお色あせない傑作です。
Switch版ではプレイ環境が改善され、当時遊んだ世代はもちろん、ノベルゲーム初心者でも遊びやすくなります。
今回のスイッチ版で是非、これから初めて学怖を知る方には、手軽に怖い話を楽しめる一方で、深く潜れば潜るほど沼のように続くゲームならではの物語の広がりを体験してほしいです。
そして、この作品の魅力に取り憑かれたなら、ぜひ『アパシー 鳴神学園七不思議』や『アパシー 鳴神学園霊怪記』などのシリーズ作品にも手を伸ばしてみてください。
恐怖、狂気、笑い、そして無数のエンディングがあなたを待っています。

