3月の終わりに予告もなく唐突に配信が行われた

任天堂のゲーム紹介公式配信であるニンテンドーダイレクト

ただ、いつものように大々的にやるのではなく、今回はコロナの影響があっての

2018年1月以来のminiを冠しての配信となり、いつもより若干小規模で配信が行われた。

とはいっても、30分以上あったminiという言葉の意味を考える内容ではあったが…w


任天堂の注目作のゼノブレDEや、その他多数の新作ソフトが相変わらず

凄まじい高密度で紹介されていったが、その中の一つで紹介されたのが

DL専用ソフトとして、ちょうど今週のスイッチの新作ソフトとして

配信された、人狼ゲームを題材としたゲームであるグノーシアがあった。



制作したのはインディー扱いになる名古屋を拠点とするディベロッパー・プチデポットである。

スイッチには既にタワーディフェンス型ゲームであるメゾン・ド・魔王

割と早い時期からリリースしており(とはいっても後発マルチにはなるのだが)スイッチに

ゲームを配信するのは、このグノーシアが2作目(メゾン・ド・魔王の配信元はメビウスだが)となっている。


このグノーシア、発表当初一部で結構な話題となっていた。

実は去年の6月にPS Vitaで配信されていたゲームで

既にその頃には本体が生産中止となっていて、もはや国内の主力ゲーム機からは

脱落していたVitaにおいて、その面白さからかなりの注目を集めたタイトルであった。


なぜ今になってPS Vitaで出たゲームが10点満点・高評価を獲得したのか?『グノーシア』には制作者がこだわる「プレイヤーとの信頼関係」があった――開発チーム「プチデポット」インタビュー


更には国内のゲームメディアのファミ通・電撃ゲームアワード2019において

ベストインディー賞を受賞するなど、かなりの高評価タイトルとなっていた。


“ファミ通・電撃ゲームアワード2019”まとめ。ゲームオブザイヤーは『ポケモン ソード・シールド』、『デススト』4冠、『十三機兵』2冠など


去年の段階で、既にVitaを主力として遊んでいる層はかなり少なくなっていたものの

実際にプレイした人からは、このゲームをなぜスイッチで出さないのかという意見もかなりあったようだ。

そのため、前回のニンテンドーダイレクトminiで発売されることが告知されてからは

その良さを知る人から歓喜の声が上がったということになる。


Vitaの発売から10ヶ月の時間を経て、無事発売されたスイッチ版グノーシア。

しかし、このタイトルのVita版が先に発売されたのはスイッチ版発売への布石だった…

ということを、開発者自身がメディアにて語っているようだ。


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『グノーシア』はスイッチ版を出す布石としてVita版を先にリリースさせて注目を集める狙いがあったことをプチデボット開発者がメディアに語る。

前述の通り、Vitaで発売された時には非常に高評価を得たグノーシア。

ゲーム自体の出来が良かったのも確かだが、既に生産中止が決定しており

市場がどんどん縮小していたVita市場に突如として良ゲーがリリースされたことによって

数少ないVitaユーザーとゲーム好きの間で大きな注目を集めていたのは間違いなかったらしい。


この手のゲームは間違いなくスイッチが最適解となるようなゲームだったはずなのに

当初Vita独占で発売したのは、今のスイッチ版につなげるための布石だったようだ。

その戦略についてプチデポットの開発者の一人がメディアに語っている記事が更新されている。

新ゲーム「グノーシア」が3月、任天堂の配信した動画で70秒にわたって紹介されたのは、制作したプチデポット(名古屋市)を率いる川勝徹氏の独自戦略の集大成だった。

  4人のゲーム制作者がいるプチデポットは2015年、グノーシアの制作をソニーの携帯型ゲーム機「プレイステーションヴィータ(PS Vita)」向けに開始した。ヴィータはすでに販売台数を公表しないほど不振に陥っていた。

  だが川勝氏たちは気にしなかった。ヴィータの生産が終了した3カ月後の昨夏、グノーシアをヴィータ向けに発売。高評価を受け、任天堂の目に留まった。もし別のゲーム機を選んでいたら、あり得ない展開だったかもしれない。グノーシアは30日、任天堂の家庭用ゲーム機スイッチ向けに配信を開始した。

  配信動画ニンテンドーダイレクトで披露されるゲームは、ほんの一握りだ。独立系ゲーム会社が制作した「いっしょにチョキッとスニッパーズ」や人気シリーズ「アサシンクリード」が同時に数百万人ものゲーム愛好者に紹介される。新型コロナウイルス感染拡大や「あつまれどうぶつの森」によってスイッチの人気は高まっており、紹介されただけで快挙だ。

  川勝氏は「制作には紆余(うよ)曲折あったが、結果として自分たちが信じ、やってきたことが間違ってなかったということが証明された」と話した。「もしグノーシアを他のプラットホームに出していたら、毎日たくさん出される新作の中に埋もれてしまい、ユーザーにこういうゲームが存在しているということすら気づいてもらえなかったかもしれない」と分析している。

  スイッチのような人気のゲーム機で少数のプレーヤーを獲得する代わりに、ヴィータという舞台でスポットライトを浴びた。新作を欠いたヴィータファンの高評価に後押しされ、グノーシアは発売から3週連続で最もダウンロードされたゲームになったほか、プレイステーションの公式ブログでも取り上げられた。

中略

  川勝氏によれば、熱心なファン層のいるゲーム機の小さなプラットフォームだけに新作を販売するのは、限られたファンに絞ってゲームを制作できるからだ。一方、多くの人が遊ぶプラットフォームでは、その分野のゲームにあまり興味のないプレーヤーの好みに合わず否定的に評価され、評判が落ちることもあり得る。

  メゾン・ド・魔王は、エックスボックス360での高評価を耳にしたゲーマーからの要望でパソコンやスイッチ向けにも発売された。グノーシアも熱心なヴィータファンが無料で宣伝してくれたほか、19年のヴィータ唯一の明るい材料だったことで注目を集めた。

  川勝氏は、グノーシアへの反応や発売前ダウンロードは想定を上回っていると述べた。プチデポットは次のゲームでも販売終了間近のゲーム機に狙いを定め、高評価を獲得する戦略を取る可能性がある。

というわけで、4人という非常に小規模なディベロッパーであるプチデボットが

取った戦略は見事にはまったということ。某黒いなんたらのキャラ風に言えば

俺を踏み台にしたぁ!?というのがVitaの視点だろうか。


一歩間違えばリスクのある売り方でもあるが、作り込んで良いタイトルになったという

自負がプチデポットにはあったということだろう。この売り方についての見方は

様々あるであろうが、開発者側としてはやはり注目されて売れれば成功ということなので

スイッチ版のあらかじめDLなどの反響が想定以上だったということは、この上なく大成功と言えるだろう。


それにしても引用元の記事の出どころは、PS忖度の国内ゲームメディアではなく

ブルームバーグなので、遠慮もなくVitaの惨状を書いているところは容赦の無さがすごい。

一般的に見れば、やはりPS Vitaというハードは大失敗だったということにはなる。

しかし、中小のインディーによる戦略の踏み台として利用されるようなプラットフォームであったのは

現状が非常に厳しいPS4より、まだアクティブなユーザーが多かったのではないかなと思っている。


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