ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が、PlayStation向け新作ゲームのディスク生産終了を発表した。ついに来るものが来た、という感じである。
当ブログでもこの話題には既に触れているのだが、発表されてからこの1ヶ月の海外の反応を見ていると、思った以上に根深い話になってきているので、今回は腰を据えて書いてみたいと思う。
改めての確認だが、対象は2028年1月以降に発売される新作タイトルのディスク版とのことで、それより前に発売されたタイトル・すでに発売済みのタイトルには影響しないらしい。
つまり、いきなり全部消えるわけではなく、あくまで「新作は2028年1月からダウンロード版オンリーになる」という話である。
参考: PlayStation公式ブログ「PlayStationコンソール向け新作ゲームのディスク生産を2028年1月に終了」
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理由は「デジタルのほうが売れてるから」…なのだが
SIE側の説明としては、購買トレンドの変化、つまりディスクよりダウンロードで買う人が圧倒的に増えたから、というのが表向きの理由である。
決算発表の場でもCFOのリン・タオ氏が言及していて、2026年6月30日までの四半期で、PS4/PS5の売上の82%がデジタル版だったとのことだ。
金額でいうとデジタル売上が12億ドル、物理メディアが1億2800万ドルというから、そりゃまあ差は歴然としている。経営判断とすれば理解を示せなくはない。
……のだが、ここで海外メディア(Digital Trends)がなかなか鋭い指摘をしていて、前年同期のデジタル比率はむしろ83%で、今回発表した82%は1ポイント「下がっている」らしいのである。
え、それ理由になってなくない?と思わずツッコミたくなる話で、個人的にはこの数字のマジックが今回の件でいちばん面白いポイントだった。
参考: Digital Trends「PlayStation discs are dying in 2028, and fan backlash isn’t changing Sony’s mind」
海外ファンの反発がなかなか大きい
で、本題はここからである。この発表を受けて、海外のファンからはかなり大きな反発が出ている。
単なる「ディスクが無くなって寂しい」という感傷的な話ではなく、もっと実利的な部分での不満が多いように見える。
- ディスクなら友人に貸したり、中古で売ったりできるのに、それができなくなる
- デジタルオンリーだと、ゲームの長期保存という観点で不安が残る(今回の発表と同日にPS3・PS Vitaのストアの新規購入サービスの停止を発表したのは既報の通り)
- 価格決定権が完全にソニー側に握られてしまうのではという懸念
- 「今買ってるデジタルゲームは、そもそも自分の“所有物”と言えるのか」という、そもそも論
署名活動やボイコットの呼びかけも広がっているとのことで、海外の一部ファンの中には「PS6世代からは離れる」「PS5が最後のプレイステーションになる」とまで言っている人もいるらしい。
良くも悪くも海外ユーザーの今回の件に対する反応は強めで、ユーザー離れを引き起こす可能性のあるレベルで拒否をしているユーザーも結構見られるということは間違いなさそうだ。
ここまで来ると、単なる一部の懐古厨(死語?)の愚痴では済まない規模になってきている気がする。
参考: Game Rant「Sony Finally Issues Official Statement on Ending PlayStation Disc Production」
ちなみに日本では、好意的な判断を持っている人のほうが多いように見える(あくまで自分が確認した範囲だけだが)が、売上を毎週追っているこのブログの管理人からすれば、物理も一定数は売れてランキングに入っているわけで、その物理を買っていたユーザーが全員DLに行くのか…と考えると、それは違うのではとも思っている。
ソニー側は「感情はわかるけど止めない」というスタンス
今回の反発を受けて、CFOのリン・タオ氏がコメントを出しているのだが、これがなかなか正直というか、身も蓋もない言い方をしている。
「物理メディアが思い出の価値を持つことは理解している」「ファンが強い意見を持っていることも分かっている」としつつ、「感情的な愛着だけでは、この移行を止めることはできない」とバッサリ。方針については「慎重に進める」という表現に留めていて、撤回する気配は今のところ無いようである。
個人的には、この言い方自体は嘘は無いんだろうなと思う。企業としては数字で動くのが当然だし、そこを責めても仕方ない部分はある。
ただ、その数字自体が「1ポイント下がってるのに移行を進める理由に使われている」あたりに、若干の後付け感というか、無理やり感を覚えてしまうのも正直なところである。
個人的にはどう思うか
ここからは完全に個人の感想になるが、正直この流れは2028年1月という区切りが来る前から、もう避けられない話だったのではないかと思う。
任天堂もダウンロード版の比率はどんどん上がっている(任天堂自身、決算などでデジタルメディア以降についてかなり意識しているのは間違いない発言をしている)し、業界全体がそっちに向かっているのは間違いない。
ただ、「ディスクが無くなる」ことそのものより、「所有権」の話がずっとモヤモヤする。
中古で売れる、貸し借りできる、サービス終了しても手元にディスクは残る……という物理メディアならではの安心感は、ダウンロード版には基本的に無い。これは単なる懐古趣味ではなく、消費者としてわりと本質的な権利の話ではないだろうか。
とはいえ、自分自身を振り返ると、棚卸し記事を見ていただければ分かると思うが、ここ数年のソフトはパッケージ版があるものについても、半分以上はダウンロード版で買っているので、あんまり大きなことは言えない……というのが正直なところである。便利さには勝てないんだよなあ。
まとめ
・SIEが2028年1月以降の新作PlayStationタイトルについて、ディスク生産を終了すると発表
・理由は「デジタル比率82%」だが、実は前年より1ポイント下がっているという指摘も
・海外では所有権・リセール・保存性への懸念から反発が拡大、署名やボイコットの動きも
・ソニー側は感情面への理解を示しつつ、方針転換の予定は無し
任天堂ハードはまだ物理メディアを廃止するという話を一切していないが、この流れがどこまで業界全体に波及していくのか、引き続き注視していきたいと思う。



