管理人がゲーム業界で使われるネタにされる言葉…すなわちよく分からない言葉を

よく分かるように解説するコンテンツの第23回目です。


昨日更新したRTA(リアルタイムアタック)に引き続いての

久々の2日連続の更新とかやっちゃいます←

本日紹介させていただく用語は、TASという言葉です。


昨日は人間がゲームの最初から終わりまでの時間を競う

RTAを紹介させていただいたわけですが、今回紹介するTASはその対極に位置するものです。

一体どういう意味の言葉なのでしょうか?


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第23回 TASとは?

RTAはいわば、人力でどこまでクリアまでの時間を縮められるか…そういった競技性の強いものですが

今回のTASについては、競技性というよりは研究のようなものになります。

まず、TASが何の略かというとTool-Assisted Speedrun(ツール・アシステッド・スピードラン)

またはTool-Assisted Superplay(ツール・アシステッド・スーパープレイ)の略とされます。


Toolという言葉で勘のいい人は分かるかと思いますが、RTAが人力でのスーパープレイなのに対して

このTASは、エミュレーターなどのゲームの中身をいじれるツールを用いて、理論上の最速プレイ。

または人の手ではまず再現できないようなスーパープレイを再現するという趣旨の遊びになります。


我々がプレイするゲームですが、突き詰めて言えばただのプログラムの塊です。

つまり、ゲームをやってコントローラーの入力デバイスによって、プログラム処理が行われ

その結果を返すのがゲームですから。人力でやる分には全て同じ入力ができるわけではなく

毎回必ずブレというのが起こり、同じ結果が得られるというのは、よほど正確な入力ができていなければ

まず無理な話ですが、TASによるツールを使ったプレイでは、それをいつも同じタイミングで入力するとか

そういった微調整が出来るようになります。もちろん、プログラムのある程度の知識などは必須ですが。


そして、ゲームのプログラムを解析し、例えばこのタイミングでこの操作を行えば必ずこの結果が得られる…

と言ったルーチンを意図的に作り出すことが可能です。人力では絶対測れないタイミングでも、ツールを使った

入力であればそれが可能なのです。なので、TASはRTAとは対極の位置にあるのです。


専門的な話になるので、深くは語れませんが、ゲームプログラムでは乱数と呼ばれる(正確には疑似乱数)

様々な結果をもたらすランダムな数字が内部で常に処理されています。分かりやすいところで言えば

例えばドラクエで、同じ装備で同じ敵を攻撃しても、ダメージが常に同じではなくある一定の決められた

範囲内でのどれかの数字に落ち着くということがあります。ドラクエをやったことがある人は誰しも経験しているはずです。

これも乱数によるもので、人間がこの乱数を意図的に見抜いて常に同じ結果を得ることは非常に困難なのですが

エミュレーターと言ったツールを用いればそれが出来るのです。つまり、乱数をいじるのです。(先にも言ったとおり完全ランダムではなく

コンピューターの場合は疑似なので、法則性がある)このことは乱数調整などと呼ばれます。


TASを使って特定の乱数にアクセスすることで、CPUのアルゴリズムを一定のものにしたりすることが出来ます。

分かりやすいので、再度ドラクエで例えますが、メタルスライムが逃げずに何かしらの攻撃をしてくるタイミングだったり

あるいはこちらが攻撃する際に、必ず会心の一撃になったり、敵の攻撃を必ず躱せるタイミングであったりと

乱数調整をして、ツールでアシストすれば望み通りの結果が得られるのです。

言うは易しですが、実際はその乱数を解析して分析して、自分の思い通りの特定のアルゴリズムを作り出すのは

かなり骨が折れる作業で、リアルタイムアタックよりはずっと専門性が求められる内容になります。

TASには、先にも述べたとおり、理論上のゲーム最速クリアを狙うものや、或いは人間の手では

まず再現が出来ないような、スーパープレイをさせるという、魅せプレイに重点が置かれています。

ニコ動やYoutubeなどで、TASの文字列で検索すれば凄まじいほどの動画を漁ることが出来るでしょう。



なお、ネット上ではあたかもゲームの達人としてネタっぽく

TASさんなどと呼ばれていることも往々にしてありますが

中には素晴らしくアホなプレイを見せてくれたりと、なかなかにユニークなやりこみがあるので

人間では絶対に出来ない人外プレイを見るには、なかなかに楽しめると思います。

ただし、あくまで正規のプレイではないこと。またある程度判定がゆるいものは人力で

再現できるパターンもあり、その場合、大体は著しくゲームバランスを欠くものから

批判的な目で見ている人も居るものではありますので、話題にする際は注意が必要かもしれません。


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