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Switch2がもたらした「身体性」の衝撃
皆様は、ニンテンドースイッチ2(以下、Switch2)が発売された時、最も驚いた機能は何だったでしょうか?
グラフィックの進化? それともバッテリーの持ち?
個人的には、やはり「Joy-Con 2」に搭載されたマウス機能、これに尽きると思っています。
Wiiのモーションセンサー、SwitchのHD振動と、任天堂は常に新しい「遊びのカタチ」を提案してきましたが、まさかゲーム機でマウス操作を求められる時代が来るとは、ゲーム歴30数年の私でも想像できませんでした。
そして、そのマウス機能を最大限に活かした、いや、「マウス機能がなければ生まれなかった」と言っても過言ではないタイトルが、今回レビューする『Drag × Drive(ドラッグ アンド ドライブ)』です。
タイトル名だけ聞くと、カーレースか何かを想像されるかもしれませんが、その実態は「車いすバスケットボール」。
しかも、ただの車いすバスケではありません。両手のJoy-Con 2をマウスのように動かし、左右の車輪を独立して操作するという、まさに「身体性」をゲームに持ち込んだ新時代のスポーツゲームです。
初めて体験イベントの「Global Jam」で本作をプレイした時の衝撃は、今でも忘れられません。
「なんだこの操作は!?」と戸惑い、思うようにビークル(車いすのような乗り物)が動かせず、コートの端で立ち往生。
しかし、数試合を終える頃には、指先と手首の動きがキャラクターの動きとシンクロし始め、「これは、ただのゲームではない。新しいスポーツだ」と確信しました。
今回は、そんな『Drag × Drive』の魅力と、賛否両論を呼んでいるその「操作性」について、じっくりと語ってみたいと思います。
「マウス操作」が生み出す、圧倒的な没入感と操作難易度
このゲームの根幹をなすのは、Switch2の「Joy-Con 2」を両手に持ち、それをマウスのように扱うという、前代未聞の操作システムです。
公式サイトにもある通り、ビークルは左右の車輪を独立して操作します。右手を前に動かせば右の車輪が回り、左手を前に動かせば左の車輪が回る。
つまり、両手を同時に前に動かせば直進、片手だけ動かせば旋回、両手を逆方向に動かせばその場で高速ターン、といった具合です。
この操作、文章で読むと簡単そうに聞こえますが、実際にやってみると、最初はまるで自分の手足ではないかのような、もどかしさを感じます。
しかし、この「もどかしさ」こそが、このゲームの最大のキモであり、魅力なのです。
なぜなら、この操作は、現実の車いすバスケの選手が、両手で車輪を漕いでいる「身体感覚」を、プレイヤーに疑似体験させることに成功しているからです。
従来のゲームコントローラーのスティック操作では決して得られない、「自分が操作している」というよりも「自分が動かしている」という、圧倒的な没入感があります。
開発は任天堂内製ではないようですが、この操作系を考え、そして実現させた開発チームには、個人的には心から拍手を送りたい。
個人的には、Switch初期に体感ゲームの新機軸を打ち出した『ARMS』を彷彿とさせます。
『ARMS』もまた、両手のJoy-Conを駆使してパンチを繰り出すという、「操作がそのまま身体の動きに直結する」というコンセプトで、熱狂的なファンを生み出しました。
『Drag × Drive』は、その系譜を受け継ぎつつ、さらに「繊細なマウス操作」という要素を加えることで、より競技性の高い、奥深いゲーム性を獲得しています。
そして、この操作の先に待っているのが、「トリックシュート」です。
ビークルを巧みに操り、急加速や急旋回といった難易度の高い動きをした直後にシュートを決めると、その難易度に応じて追加点が得られるというシステム。
これは、単なるバスケゲームではなく、エクストリームスポーツの要素を組み合わせた、まさに『Drag × Drive』ならではの醍醐味と言えるでしょう。
このトリックシュートを狙うためには、一瞬の判断力と、それを実現するための正確かつダイナミックなマウス操作が求められます。
1,980円という価格設定の妙と、愛着の湧くカスタマイズ
本作は、ダウンロード専用タイトルとして1,980円(税込)という、任天堂タイトルとしては比較的安価な価格設定でリリースされました。
この価格設定は、「まずはSwitch2の新しい操作を体験してほしい」という、任天堂からのメッセージのように感じられます。
しかし、価格が安いからといって、ボリュームが少ないわけではありません。
もちろん、メインはオンラインの対人戦ですが、オフラインでもCPUを相手にした対戦や、タイムアタック、シュートコンテストといった「ひとりでプレイできるモード」が充実しています。
特に、CPU戦は操作に慣れるための良い練習台となりますし、難易度を上げれば、オンラインで通用するテクニックを磨くことも可能です。
個人的には、「タイムアタック」で、いかに最短ルートでビークルを操れるかを突き詰めるのが、地味ながらも熱中できるポイントでした。
そして、ゲーマーにとって欠かせない要素が「カスタマイズ」です。
自分の分身となるビークルは、色や質感、背番号、そしてヘルメットといった見た目を細かくカスタマイズできます。
このカスタマイズが、また愛着が湧くんですね。
特にヘルメットは、特定の条件を満たすことで種類が増えていくという、「やり込み要素」にもなっています。
オンラインの「パーク」で、自分だけの個性的なビークルに乗って登場した時の優越感は、何物にも代えがたいものがあります。
「あのヘルメット、どうやって手に入れたんだろう?」と、他のプレイヤーとの会話のきっかけにもなりますし、ゲーム内での自己表現の場として、非常に重要な役割を果たしています。
この価格で、これだけのボリュームと、新しい操作体験、そしてカスタマイズ要素を提供しているのは、さすが任天堂と言わざるを得ません。
もし、Switch2を持っているのに、まだこのゲームをプレイしていない方がいれば、「とりあえず買って損はない」と断言できます。
「公園で遊ぶ」感覚。本命のオンライン「パーク」の魅力
さて、このゲームの「最大のウリ」であり、私が最も熱中しているのが、オンラインの「パーク」でのプレイです。
これは、世界中のプレイヤーがオンラインで集まる広場のような場所で、最大12人のプレイヤーが自由に行動できます。
ここで、マッチングしたプレイヤー同士で3×3の試合をしたり、レースをしたり、シュート対決をしたりと、様々なルールで遊ぶことができるのです。
この「パーク」の雰囲気が、もう最高なんですね。
まるで、放課後の公園に集まって、気の合う仲間とバスケをしているような感覚。
誰かが試合を始めれば、自然と人が集まってきて観戦したり、次の試合に参加したり。
試合が終われば、勝者も敗者も関係なく、HD振動を使った「ハイタッチ」で健闘を称え合う。
この擬似的なソーシャルな感じが、本当に心地良いのです。
掲示板の感想にもありましたが、「公園でみんなで遊んでる」みたいな雰囲気がすごくいい、という意見には、私も深く同意します。
そして、本命の3×3の試合は、短時間で決着がつくため、非常にテンポが良い。
前述のトリックシュートシステムのおかげで、単なるシュートの打ち合いではなく、いかにビークルを華麗に操り、相手を出し抜くかという、戦略性の高いバトルが展開されます。
特に、ガード、フォワード、センターという3つのタイプを、チーム内でどう組み合わせるか、そして、どう連携を取るかが勝利の鍵となります。
私は、素早い動きで相手を翻弄する「ガード」タイプを好んで使っていますが、フィジカルの強い「センター」がゴール下を固めてくれると、安心して攻めに集中できます。
フレンドと遊ぶ際は、ゲームチャットを使って声を掛け合いながらプレイできるのも、対戦の熱量を高めてくれます。
「今、右から行くぞ!」「ナイスパス!」といったリアルタイムのコミュニケーションは、まさにeスポーツのような熱狂を生み出します。
このゲームは、「操作の難しさ」という壁を乗り越えた先に、最高のチームプレイの快感を用意してくれているのです。
この「パーク」での体験こそが、『Drag × Drive』が単なる一発ネタで終わらない、任天堂の新しい定番スポーツ」になる可能性を秘めていると、密かに感じています。
「腕がパンパン」になる快感と、人を選ぶ操作性
さて、ここからは、このゲームの「光と影」の部分、つまり、ネット上で最も議論を呼んでいる「操作の疲労度」について、個人的な見解を述べたいと思います。
検索結果にもあった通り、このゲームの感想で最も多いのが、「疲れる」「腕がパンパンになる」というものです。
これは、Joy-Con 2をマウスのように扱う際、パソコンのマウスのように手首だけで動かすのではなく、腕全体をダイナミックに動かす必要があるためです。
特に、激しい攻防の中で急加速や急旋回を繰り返すと、まるで筋トレをしているかのような疲労感が襲ってきます。
正直に言いましょう。私も、初めてプレイした時は、20分で手首が悲鳴を上げました。
しかし、この「疲労」は、決してネガティブな要素だけではないと、私は考えています。
むしろ、この「身体的な負荷」こそが、ゲームへの没入感を高め、勝利の価値を何倍にも高めているのではないでしょうか。
汗をかきながら、腕の筋肉を酷使して掴んだ勝利は、コントローラーを握っているだけの勝利とは、重みが全く違います。
この疲労感は、「ゲームというよりスポーツ」という評価に繋がっているのだと思います。
ただし、この操作性が「人を選ぶ」のも事実です。
操作の習熟には時間がかかりますし、体力的な問題で長時間のプレイが難しい方もいるでしょう。
この点は、かつて『ARMS』が抱えていた課題と酷似しています。
しかし、任天堂は、この操作の難しさを「トリックシュート」という形でゲーム性に昇華させ、「操作が難しいからこそ、上手く操れた時の快感が大きい」という、ポジティブな循環を生み出しています。
この「高いスキル要求」こそが、コアなゲーマーを熱狂させている理由であり、「単なる一発ネタ」で終わらせない任天堂の執念を感じる部分です。
もし、あなたが「新しい操作に挑戦するのが好き」「スポーツゲームで汗を流したい」というタイプであれば、この疲労感は「心地よい達成感」に変わるはずです。
逆に、「寝転がって気軽にゲームをしたい」という方には、正直おすすめできません。
このゲームは、プレイヤーに「本気」を求めてくる、ストイックなタイトルなのです。
総評:Switch2の未来を照らす、任天堂の「本気」
『Drag × Drive』は、単なる車いすバスケゲームではありません。
それは、ニンテンドースイッチ2の新しい可能性を提示した、技術デモであり、同時に一本の完成度の高いスポーツゲームです。
Joy-Con 2のマウス操作という、一見すると奇抜なアイデアを、「身体性」「競技性」「ソーシャル性」という3つの柱で支え、見事にゲームとして成立させています。
価格は1,980円と安価ですが、その体験は価格以上の価値があります。
特に、オンラインの「パーク」で、世界中のプレイヤーと汗を流し、ハイタッチを交わす体験は、今の時代に求められている「新しい交流のカタチ」かもしれません。
操作の難しさや疲労感という壁はありますが、それを乗り越えた先に待っている「快感」と「達成感」は、他のゲームでは味わえないものです。
【個人的評価】
- 操作の斬新さ:★★★★★
- ゲームの中毒性:★★★★☆
- オンラインの楽しさ:★★★★★
- 腕の疲労度:★★★★★(良い意味で)
このゲームは、「任天堂は、まだこんなにも新しい遊びを生み出せるのか」という驚きと感動を与えてくれました。
Switch2を持っているすべてのゲーマーに、一度は体験していただきたいタイトルですね。





