据置機と携帯機のハイブリッド…という未だかつて無かった
立ち位置から、特に大作よりは、低価格で購入できるような
インディーズタイトルなどが非常に遊びやすいニンテンドースイッチ。
携帯できる利便性は、大作ではない小粒タイトルを手軽にサクッとプレイするのにうってつけであり
国内外で、スイッチに出した作品は、マルチタイトルであると、他のプラットフォームよりも
売れるという現象が幾つも確認されている。特にインディーズタイトルはそれが顕著である。
現在、開発者からの認識は、スイッチに出すと他のプラットフォームより売れるという
大きなチャンスのある市場と認識がされており、その結果が国内外でのスイッチでの
多数ソフトのリリースという展開に繋がっている。
海外に比べると、サードやディベロッパーの動きが遅いとも言われている国内でさえ
最近は、毎週木曜日が来ると、DLソフトも含めて10本以上の新規タイトルが
1週でリリースされるという状況はなんら珍しいものでも無くなった。
ユーザーとしては、ソフトが増え、開発者としてもゲームが売れるという
WIN-WINの関係が今までは築かれてきたが、勢いがある市場というのは
別の視点では問題も引き起こす。今回、ゲームメディアのIGNが、先日
スイッチにリリースされたとあるタイトルを引き合いに出し
今後のスイッチゲームに於いての課題を問題提起している。
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多数リリースされる玉石混交のゲームたち。質の低いゲームの氾濫を危惧。
IGN JAPANが、先日日本のe-shopに突如リリースされたとあるゲームを引き合いに出し
スイッチのDLソフト市場について問題提起を行っている。該当の記事の一部分を引用する。
Nintendo Switchではインディーゲームがよく売れているらしい。実際のところ私もそれを肌で感じており、PCではスルーしているゲームをNintendo Switchならば遊ぶということがしばしばある。さまざまなスタイルで遊ぶことができるというのは想像以上に価値があるし、今後は『Undertale』などの有名タイトルが出ることもあって期待も高まるばかりだ。
しかし、光が当たる市場というものには影ができるもの。既にさまざまな方面から言われていることだが、Nintendo SwitchのDL版タイトルを販売するニンテンドーeショップには不安がつきまとっている。タイトル数が少ないうちは各タイトルが注目される割合は高くなるが、数が増えれば増えるほど注目されづらくなるのではないか……、と。
実際、Steamのようなプラットフォームでもゲームの数が増えすぎて好みの新作を見つけるのは容易ではなくなってきているし、そこまで検索しやすいと言えないニンテンドーeショップが混雑するのは時間の問題だろう。何より、「Nintendo Switchが流行っているうえに小規模なタイトルも売れるらしい」という話が広まると困ったことになるのだ。今回はその困った一例を挙げようではないか。
Nintendo Switchに困った実写ゲーが現れた
2018年3月29日より、Nintendo Switchで『真・電愛「なにが欲しいの?」 ~北見えり~』が配信された。これの何が衝撃的だったかといえば、実写映像を使ったタイトルだったからに他ならない。とにかくニンテンドーeショップでは浮いているのだ。いや、浮いているのが見た目だけなら良かったのだが。
中略
ところで、Nintendo Switchは最近やたらとDLタイトルが出まくっていることをご存知だろうか。ニンテンドーeショップでは毎週のようにたくさんのタイトルが配信されており、中には出来栄えが怪しいものもいくつかある。たとえばスマホの基本無料システムをそのまま持ってきてしまったパズルゲーム『BOOST BEAST』も問題作だと一部で騒がれているのだ。
なぜこんなことになっているのか。それは文頭にあるように、Nintendo Switchがかなりの人気を誇っており、そこでDLタイトルを販売するとよそのプラットフォーム以上に売れる可能性があるからだ。だからこそ今がチャンスと、いい加減すぎる移植作品もNintendo Switchに集結しつつある。
プラットフォームは困ったゲームに制圧されかねない
ただ単にダメなゲームが出るのは仕方がない。ゲーム開発会社にだって都合があるだろうし、たまたまウケなかっただけかもしれないだろう。しかしながら、“そういうものが集う”という事態は本当に困ったものなのだ。
かつてXbox 360では、誰でもゲームを配信できるXbox Live Indie Games(XBLIG)という市場があった。開発者同士のピアレビューさえ通ることができれば、お父さんが赤ちゃんのために作ったゲームも、ユニコーンがちゅっちゅぺろぺろして戦う格闘ゲームも、制作者の性癖すべてが注ぎ込まれているアクションゲームも、国産なのに日本語が怪しくてそもそもルールが理解できないパズルゲームだってゲーム機向けに配信できたのである。
「誰もが好きなゲームを作ることができる」というのは素晴らしいものだ。しかし、XBLIGで最初に流行ったソフトは“コントローラーの振動をマッサージ機として使うソフト”である。これは最初の1本こそ話題になってよかったのだが、むやみに真似をする開発者が続出、そのうち市場には需要を無視してマッサージソフトがあふれるようになってしまった。
このような流行りの後追いはその後も何度か起こった。Xbox 360のアバターを使ったしょうもないミニゲーム、アバターを使ったシューター、『マインクラフト』のクローンなど。もちろん中には元の作品を進歩させてより良くしたものもあるのだが、残念なことに出来が悪い、あるいは悪質なタイトルも多く、悪評のほうが圧倒的に上回った。そして当然ながら、XBLIGからはどんどん人が離れていってしまったのだ。
おそらくこの話、Nintendo SwitchのDLタイトル市場にも同じことが言えるだろう。人気が高まってくると柳の下のドジョウを絶滅させるほど獲りつくそうと、怪しいタイトルもやってくるのである。
後略
長い引用になってしまって申し訳ないが、言っていることは辛辣な部分はあるものの概ね納得できる内容である。
ゲームハードの歴史を見渡せば、粗悪品のゲームが市場の多くを独占してしまい、一時はアメリカの
ゲーム市場を壊滅的な状況に追い込んだ、俗にいうアタリショックの例が思い起こされる。
アタリショックほど深刻ではないにせよ、スーパーマリオが出た後のファミコンブームに於いて
いわゆる、クソゲー(と一般的に認識されるソフト)が量産され、まさに玉石混交になった
ファミコン時代や、大きな市場を得たPS1もこういった問題を抱えていた。
当時の状況と今の状況では、良くなっている面も悪くなっている面もある。
良い面は、ネットやスマホという情報ツールで、ゲームの評判を予め知ることが容易であるということ。
そして悪い面としては、DLソフトという販売形式が一般的になりつつあることによって
ゲーム自体の出来が微妙だった時に、売れないということ。小粒なソフトは
価格自体も安いものではあるが、何度も微妙なゲームを掴まされれば、損したという気分になるのは当然でもある。
今回のIGNの指摘については、恐らく任天堂としても百も承知ではあると思う。
現状、シンプルで軽快な動作が売りのe-shopだが、ゲームソフトを探すとなると
色々とかゆいところに手が届かない仕様であるとも言える。
インディーズタイトルを分けて販売することは、任天堂側としては
避けたいという考えを持っているのは、以前更新した↓の記事に引用がある。
【深い戦略】任天堂のインディーズ担当者がメディアに戦略を語る。
任天堂としては痛し痒しと言ったところなのだろう。
以前、NOAの公式サイトで、ソフトのレビューを出来る場を設けたことを
記事にしたことがあったが、その後レビュー投稿はすぐに閉鎖されている現状でもある。
【日本でもやってほしい】米任天堂、公式サイトでレビューが書けるように!
このまま対策をしなければ、多数のゲームで埋もれてしまうという
現状Steamが抱えている問題が、スイッチでも起こる可能性は十分に考えられることでもある。
悪貨、良貨を駆逐するといった言葉もあるが、この玉石混交な流れを歓迎する人もいれば
ゲームが探しにくい、クソゲーを掴まされたくないと考える人もいるのでなかなか難しい問題である。
ただ、アメリカの任天堂関係者が、スイッチのe-shopのUIについて改善する方向で動いていることを示唆している。
任天堂、ニンテンドースイッチ向け「ニンテンドーeショップ」の改善を予告。良いゲームが目立つストアを目指す
恐らく万人に支持される改善は難しいとは思うが、出来るだけ多くの人が最大限満足できるような
改善を期待したい。今後のスイッチのソフトについては、ユーザー側としても見る目を養う必要があるのかもしれない。
良いソフトが売れ、悪いソフトが売れない市場であれば、当然ながら粗悪なタイトルで
儲けを狙うようなディベロッパーは自然に淘汰されていくからである。