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任天堂ゲームの裏設定とは?隠された小ネタの魅力
任天堂のゲームには、プレイヤーが見つけるのを待っている無数の「隠し要素」が存在します。これらはイースターエッグと呼ばれ、開発者が密かに仕込んだメッセージや機能、演出のことを指します。
イースターエッグという言葉の由来は、キリスト教の復活祭で装飾された卵を子どもたちが探す「エッグハント」という遊びから来ています。1980年にアタリから発売された『アドベンチャー』で、開発者ウォーレン・ロビネットが自分の名前を隠し部屋に入れたことが、ゲーム業界でイースターエッグという言葉が使われるようになったきっかけとされています。
任天堂のゲームにおけるイースターエッグや裏設定は、単なる遊び心だけではありません。これらはプレイヤーとの深いコミュニケーションを生み出し、ゲーム体験に新たな深みを与える重要な要素です。偶然見つけた隠し要素に驚いたり、友達に自慢したくなったりする瞬間は、ゲームをより印象深いものにしてくれます。
任天堂が大切にしている「発見の喜び」という哲学は、こうした裏設定やイースターエッグにも表れています。すべてを説明せず、プレイヤー自身が探索し、発見する楽しみを残すことで、ゲームはより長く愛される作品になるのです。
裏設定を知ることで、これまで何気なくプレイしていたゲームが、実は緻密に計算された世界観の上に成り立っていることに気付かされます。キャラクターの名前の由来や、ステージデザインの意味、シリーズ作品同士のつながりなど、知れば知るほど任天堂ゲームの奥深さに引き込まれていくでしょう。
本記事では、マリオやゼルダをはじめとする任天堂の人気タイトルに隠された裏設定や開発秘話を、確認できる情報をもとに詳しくご紹介していきます。
マリオシリーズに隠された驚きの裏設定と小ネタ
マリオの名前の由来
任天堂の看板キャラクター・マリオの名前は、実在の人物から付けられたことをご存知でしょうか。1982年の『ドンキーコングJR.』で初めて「マリオ」という名前が与えられましたが、この名前はNintendo of America(NOA)が借りていた倉庫のオーナーであるイタリア系アメリカ人、マリオ・セガール氏に由来しています。
宮本茂氏のインタビューによると、マリオはもともとイタリア人をイメージして描かれていました。宮本氏はイタリアのイラストレーター・マルディロの作品が好きで、彼が描くキャラクターには「鼻が大きくてヒゲがある」という特徴があったそうです。また、「ひょっこりひょうたん島」のドン・ガバチョや「鉄腕アトム」のお茶の水博士など、宮本氏が好きだったキャラクターにも同様の特徴があり、それがマリオのデザインに反映されました。
ルイージの名前に隠された真実
マリオの弟・ルイージの名前については、「マリオに類似(るいじ)しているからルイージ」という説が長年信じられてきました。しかし、これは実は後付けの俗説です。
宮本茂氏は、イタリア人デザイナーに「ルイジ」という名前を持つ人が多く、語呂が良いという理由で「ルイージ」が選ばれたと明かしています。マリオに対して一番そばにいておかしくないイタリア人の名前として考えたとのことです。偶然にも日本語の「類似」と発音が似ているというダジャレ的な要素はありますが、これは後から気付いた面白い偶然だったようです。
キャラクター命名の遊び心
マリオシリーズのキャラクター名には、開発者の遊び心が詰まっています。例えば「ジュゲム」は落語の「寿限無」から取られており、一番長い名前を付けたかったという理由で即決したそうです。ジュゲムが落とす「パイポ」も同じく寿限無の一節「ぱいぽぱいぽ」から来ています。
また、「キラー」という名前は、戦闘機に描かれていたサメの顔(シャークマウス)を大砲の弾に描いたらキラーな感じがするという理由で、最初から「キラー」と名付けられました。
「ノコノコ」や「パタパタ」といった繰り返しの名前が多いのは、任天堂の役員である手塚卓志氏が自分のことを「てんてん(TENTEN)」と呼んでいたことに影響を受けたそうです。宮本氏はこの幼児っぽい愛称が面白いと感じ、音を繰り返すキャラクターシリーズを作ることにしました。
マリオの職業変遷
マリオは最初から配管工だったわけではありません。『ドンキーコング』では大工として登場し、その後『スーパーマリオブラザーズ』で配管工に転職しました。宮本氏によると、筋骨隆々のヒーロー像ではなく、より「取っ付きやすい」キャラクターとして描きたかったという制作意図があります。
これらの裏設定を知ると、マリオシリーズのキャラクターたちがより身近に感じられ、ゲームプレイの楽しみ方も変わってくるでしょう。
ゼルダの伝説シリーズの深すぎる裏設定
公式タイムラインの存在
『ゼルダの伝説』シリーズには、実は任天堂公式が定めた時系列(ハイラル史)が存在します。2011年に発売された『任天堂公式ガイドブック ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説大全』で初めて公開され、その後『ゼルダの伝説 ハイラル百科』でも詳しく解説されています。
最も古い時代を描いているのは『スカイウォードソード』で、ここでマスターソードの誕生や、なぜ「ゼルダ」という名前が代々伝説として語り継がれるようになったのかが明かされています。この作品はシリーズの原点ともいえる物語です。
時のオカリナで分岐する3つの世界線
ゼルダシリーズの時系列で最も重要なのが『時のオカリナ』です。この作品を境に、世界線が3つに分岐します。分岐の条件は以下の通りです。
1. 勇者敗北ルート:時の勇者リンクがガノンに敗北した場合
2. 勇者勝利(子供時代)ルート:リンクがガノンドロフを倒した後、子供時代に戻った世界線
3. 勇者勝利(大人時代)ルート:リンクがガノンドロフを倒した後、勇者が7年前に戻ってしまった世界線
勇者敗北ルートでは初代『ゼルダの伝説』や『神々のトライフォース』につながり、子供時代ルートでは『ムジュラの仮面』や『トワイライトプリンセス』に、大人時代ルートでは『風のタクト』や『大地の汽笛』へと物語が展開していきます。
リンクは毎回別人という設定
シリーズを通じて主人公として登場する「リンク」ですが、実は作品ごとに別人です。同じ名前の勇者が時代を超えて転生し、繰り返し現れるという設定になっています。例外として、『ゼルダの伝説』と『リンクの冒険』のリンク、『神々のトライフォース』と『夢をみる島』のリンクなど、一部の作品では同一人物が主人公となっています。
ブレワイとティアキンの謎
最新作の『ブレス オブ ザ ワイルド』と『ティアーズ オブ ザ キングダム』については、どの時系列に属するのか公式には明らかにされていません。2018年に公開された「ゼルダの伝説ポータル」の系図では、これら2作品がどの時間軸にも属していない状態で記載されており、すべての世界が合流した遥か未来の物語か、まったく別の世界線である可能性が示唆されています。
最新作『知恵のかりもの』の時系列判明
2024年11月に公式ポータルサイトが更新され、『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』の時系列が判明しました。本作は勇者敗北ルートの『トライフォース3銃士』の後、初代『ゼルダの伝説』の直前という時代設定であることが明らかになりました。
このように、ゼルダシリーズは非常に複雑で緻密な世界観を持っており、各作品をつなぐ歴史を知ることで、プレイ体験がより深いものになります。
カービィ・ポケモン・スプラトゥーンの知られざる裏話
スプラトゥーンの衝撃的な世界観
可愛らしいイカのキャラクターが活躍する『スプラトゥーン』シリーズですが、実は人類が滅亡した約12,000年後の地球が舞台という、かなりダークな裏設定があります。
ゲーム内で収集できる「ミステリーファイル」によると、環境破壊や温暖化の影響で異常な海面上昇が起こり、人類を含む哺乳類は絶滅しました。ある博士が愛猫ジャッジを10,000年後に目覚めるタイムカプセルに入れて封印し、その後イカやタコなどの海洋生物が進化して地上で生活するようになったという設定です。
ジャッジは目覚めてから約2,000年以上生き続け、イカたちの「ナワバリバトル」の審判役を担っています。軟体世紀では唯一の哺乳類として、イカたちから尊敬と畏怖を集める存在です。
大ナワバリバトルの歴史
スプラトゥーンの時代から100年前、さらなる海面上昇で狭くなったナワバリを巡り、イカとタコの間で「大ナワバリバトル」と呼ばれる戦争が1年間にわたって続きました。
緒戦は勤勉なタコ陣営(オクタリアン)が勝利しましたが、最終的にはイカ陣営が勝利し、タコたちは地下に追いやられることになります。現在若者たちが楽しんでいるナワバリバトルは、この戦争がスポーツ化したものという設定です。
任天堂ハードに仕込まれた心温まるイースターエッグ
ニンテンドースイッチには、故・岩田聡前社長へのトリビュートとして、ファミコンの『ゴルフ』が隠されていました。この隠し要素は、7月11日(岩田氏の命日)に本体の日付を設定し、Joy-Conでニンテンドーダイレクトでおなじみだった「直接!」のモーションを入力することで起動するというものでした。
『ゴルフ』は岩田氏が30年以上前にプログラマーとして手がけた作品であり、スイッチの開発を指揮した岩田氏へのトリビュートとして、開発チームが密かに仕込んだイースターエッグだと考えられています。
これらの裏設定や隠し要素は、任天堂のゲームが単なるエンターテインメントではなく、開発者の思いやメッセージが込められた作品であることを教えてくれます。
任天堂ハードに隠されたイースターエッグと小ネタ
ニンテンドースイッチの隠し機能
ニンテンドースイッチには、前述の岩田聡氏へのトリビュート以外にも様々な隠し要素があります。システムの細部にまで開発者の遊び心が散りばめられており、見つけた時の喜びは格別です。
スーパーファミコン周辺機器の隠しコマンド
スーパーゲームボーイには、三三七拍子のリズムでボタンを押すとスタッフロールが表示されるというイースターエッグがありました。具体的には、システムウインドウを閉じた状態で、Rボタンを3回、Lボタンを3回、Rボタンを7回の順番で押すと、開発スタッフの名前が表示されます。
ゲームキューブの音楽の秘密
ニンテンドーゲームキューブのメニュー画面の音楽を16倍速で再生すると、なんとディスクシステムの起動音になるという隠し要素があります。これは任天堂の過去作品へのオマージュであり、ファンを喜ばせる粋な演出です。
ゲームボーイの隠し機能
ゲームボーイでは、本体の起動時にスタートボタンとセレクトボタンを同時に押すと、通常は表示されるNintendoのロゴが消えるという小ネタがありました。
ハードウェアへのこだわり
任天堂のコントローラーには、開発者の試行錯誤が詰まっています。スーパーファミコンの「LRボタン」や、NINTENDO 64の「アナログスティック」は宮本茂氏が提案したアイデアで、現在では他社ハードのコントローラーにも同様のものが搭載される標準仕様となりました。
宮本氏は「インターフェースが任天堂の最も得意な分野」と考えており、ゲームキューブで最高のコントローラを作ったものの思ったより受け入れられなかった経験から、ニンテンドーDSやWiiでは「みんなが同じスタートラインに並べる」操作性を追求しました。この哲学は現在のニンテンドースイッチにも受け継がれています。
任天堂のハードウェアに込められたこだわりや隠し要素を知ることで、ゲーム機本体への愛着も深まるでしょう。
開発者が語る任天堂ゲームの制作秘話
宮本茂氏の開発哲学
任天堂を代表するクリエイター・宮本茂氏には「アイデアとは複数の問題を一気に解決するもの」という持論があります。これは元々宮本氏自身が明確に口にしたものではなく、故・岩田聡氏が宮本氏の仕事ぶりを見て感じ取り、言語化したものです。
宮本氏は2020年のインタビューで、糸井重里氏の「クリエイターとかクリエイションというのはおこがましい。そう呼べるのは神様だけ。誰もクリエイションなんてしていない。みんなエディットをしてるんだ」という言葉を気に入り、自身もエディターであると語っています。つまり「0から1を創造する」のではなく、「過去に吸収したものを自分でエディット(編集)して出す」という認識です。
ピクミン誕生の裏話
『ピクミン』シリーズは、宮本氏が自宅での庭いじりから着想を得た作品です。2001年発売の初代『ピクミン』は、バラバラだったアイデアを宮本氏がまとめてゲームフロー図にしたことで形になりました。
開発チームには入社以来「ピクミン」のプログラムだけをしているという人がいるほど、任天堂では通常の開発会社では考えられないような体制で開発が進められています。開発初期は5人で5年間試作を続け、Wii Uで「いける!」と確信した時点で人数を増やし、最終的には50人規模のチームになったそうです。
日常生活から生まれるアイデア
宮本氏の制作するゲームには、日常生活から着想を得ているものが多くあります。2005年発売の『nintendogs』は犬を飼い始めたことが、2007年発売の『Wii Fit』は体重測定を趣味にしていたことが制作のきっかけとなりました。
糸井重里氏は宮本氏について、町内会やPTAにまめに参加するなど「生活力の人」と評しています。普通の生活者としての完成度が高いために、日常生活から面白さを発見するのがうまいのではないかと分析しています。
開発現場の試行錯誤
任天堂の開発現場では、核となるメンバーは固定しながら、状況に応じて他のプロジェクトから応援を呼ぶという柔軟な体制が取られています。宮本氏は「建築物と一緒なので、設計を途中で変更するとものすごく時間がかかる」と語り、遊びの骨組みができてからステージを増やす、演出を付け加えるという手法を重視しています。
任天堂の社内文化
任天堂は職種に関わらず随時いろんな人からアイデアを募集している文化があります。『スプラトゥーン』のアートディレクターを務める井上精太氏も、自分の担当領域以外にどんどん描いて提案するスタイルで仕事をしていると語っています。
このような開発者の努力と遊び心が、任天堂ゲームの高いクオリティと独創性を支えているのです。
マイナータイトルに眠る隠れた裏設定
スプラトゥーンの開発経緯
『スプラトゥーン』は、Wii Uのローンチタイトルに関わっていたスタッフたちが、Wii Uの機能を把握した上で「既存の枠を取り払った何か新しいものを作ろう」という話からスタートしました。
プロデューサーの野上恒氏、ディレクターの天野裕介氏と阪口翼氏を中心に、様々な企画の中から残ったものが『スプラトゥーン』でした。Wii Uのローンチタイトル制作に参加し、一度Wii Uの開発に触れていたメンバーが多かったことが、この革新的な作品を生み出す土台となりました。
スプラトゥーンの世界観構築
『スプラトゥーン』のアートディレクター・井上精太氏は、世界観として「イカ」を定義して仕上げていく作業は、単に見た目を作る作業とは違い、要素を整理していくようなものだと語っています。
キャラクターのデザインや設定の魅力も大事ですが、その前に遊びとしての面白さがまずあり、そのための企画自体を考えることがゲーム作りの面白さだと述べています。美的であっても機能的であり、ユーモアもなければユーザーはプレイを続けてくれないという考え方です。
知る人ぞ知る小ネタ
『スプラトゥーン』のミステリーファイルには、ゲーム本編では語られない数多くの裏設定が記されています。例えば、イカは14歳になるとナワバリバトルに参加できるようになること、イカの足は10本でヒト状態になった時もちゃんとゲソが10本あること(初代の髪型の場合)など、細かい設定が明かされています。
また、タコの序列の付け方はゲソの数(タコゾネスの場合は頭の上の海藻)が関係していたり、他の海洋生物(クラゲやイソギンチャク、カブトガニなど)は陸地で生活しているがナワバリバトルには参加せず、ギアの販売やお店の経営などで生計を立てているという設定もあります。
マイナータイトルの魅力
これらのマイナータイトルや派生作品には、メインタイトルとは違った角度から任天堂のゲーム作りの哲学を知ることができる要素が詰まっています。一見すると小さな作品でも、そこには開発者の深い思考と遊び心が込められているのです。
公式資料集やアートブックには、ゲーム本編では語られない詳細な設定や開発過程が記されており、ファンにとっては宝の山と言えるでしょう。
裏設定を知ってもっと楽しむ!任天堂ゲームの遊び方
裏設定を意識したプレイの楽しみ方
裏設定やイースターエッグを知ると、同じゲームでも全く違った視点で楽しめるようになります。例えばゼルダシリーズをプレイする際、その作品が時系列のどこに位置するのかを意識することで、他の作品とのつながりを見つける楽しみが生まれます。
公式資料のチェック方法
任天堂は公式サイトで「開発者に訊きました」というインタビューシリーズを公開しています。ここでは開発者が制作の裏側や込められた思いを語っており、ゲームをより深く理解する手がかりが満載です。
また、『ハイラル・ヒストリア』や『イカすアートブック』などの公式設定資料集には、ゲーム内では語られない詳細な情報が掲載されています。これらの書籍はクリエイターがキャラクターや世界観を設計する参考資料としても使えるほど、充実した内容となっています。
ファンコミュニティでの情報交換
任天堂ゲームの裏設定やイースターエッグについて、ファンコミュニティで情報交換するのも楽しみ方の一つです。自分では見つけられなかった隠し要素を知ったり、他のプレイヤーの考察を読んだりすることで、ゲームの世界がさらに広がります。
ただし、インターネット上の情報には都市伝説や未確認の噂も含まれているため、公式が認めた情報かどうかを確認することが大切です。本記事で紹介した情報は、公式インタビューや資料に基づいた確認可能なものに限定しています。
裏設定を知ることは、ゲームへの愛着を深め、より長く楽しむための素晴らしい方法です。次回プレイする時は、ぜひこれらの知識を思い出しながら、新たな発見を探してみてください。

