ファミコン時代から、ゲーム音楽に魅せられ、今もなおその曲を聴くことを
ライフワークにしている死ぬまでゲーマーでいたい!管理人が語る
思い出のゲームサウンドトラック企画の第六弾です。
前回の更新が先月の頭だったので、1ヶ月半以上ぶりの更新です。
前回は任天堂のシリーズIPでドンキーコングやマリオに次ぐ古株の
ゼルダの伝説のSFCでの第一弾タイトルとなった神々のトライフォースの
サウンドトラックを紹介させていただきましたが、今回もまた
任天堂タイトルのサウンドトラックを紹介したいと思います!
1989年、当時マリオなどのアクションやディスクシステムでテキストアドベンチャーなどを
多く展開していた任天堂が、コピーライターの糸井重里氏をデザイン監修に迎えて
制作されたRPGタイトルで、今もなお根強いファンを持つタイトルの一作目である
MOTHERのサウンドトラックとなります!
ゲームとしては、かなり難易度の高いRPGです。
前半はまだマシなのですが、一番最後のダンジョンと地域の敵があまりにも強すぎることで有名で
ラスボスと遭うために、その強敵しかでないフィールドをおっかなびっくり歩いていた
プレイヤーも多いのではないでしょうか。そういう面ではかなりゲームバランスの厳しいRPGなのですが
このゲームの特筆すべき点は音楽にあります。ロックバンド・ムーンライダーズの
メンバーである鈴木慶一氏と、任天堂のゲームミュージックと言えばこの人!
とでもいうべき田中宏和氏が音楽作曲を行っているタイトルになります。
ゲームミュージックの大御所とでも言える田中宏和氏と、実力のあるバンドの鈴木慶一氏の
合作となっていて、どの音楽もクオリティが非常に高いのが特徴です。
実際にゲームの重要な要素に音楽が効果的に使われているタイトルでもあります。
このゲームを音楽の面で、記憶している方々も多いと思われます。
今回はそんなMOTHERのオリジナル・サウンドトラックを紹介していきます。
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嗚呼、思い出のゲームCD 六枚目『MOTHER』
MOTHERはそのデザインからして非常に強烈なタイトルでした。
パッケージは一面の赤色に、MOTHERの文字が表示されているだけのもので
しかもOの部分が地球になっているという、なんとも壮大な雰囲気を
このシンプルかつ斬新なパッケージに感じ取ったものです。
舞台は1900年代はじめのアメリカでのとある出来事が発端となっており
アメリカの片田舎をイメージした舞台設定が、当時としては斬新なタイトルでした。
(なにせドラクエ以後で、RPGといえば剣と魔法のファンタジーものがほとんどだったので)
敵も少しおかしくなってしまったそこら辺にいる動物や虫、近所のおじさんなど
個性的な敵キャラが揃っていて、敵を倒したという表現ではなく
動物とかであればおとなしくなった、人間系であればわれにかえったとか
直接的に殺したというような表現が無い(機械系だけ例外ではかいしたなどの表現になる。)
今見ても、面白い作りになっていて、そういう点でも心に残りやすかったタイトルだったと思います。
さて、ゲームの方について語るのはこのコンテンツの本題ではないので
いくつか今でも個人的に強烈にインパクトに残っている楽曲を紹介…
と言う前に、実はこのサントラ、ゲームの音楽というのは最後のトラックに
まとめて収録されているだけで、実はゲーム内の楽曲を主にボーカルアレンジしたものが
メインで収録されているサウンドトラックだったりします。
なので、ゲーム音楽を純粋に楽しもうと思った場合にこのサウンドトラックを買った場合は
肩透かしを食らってしまうことでしょう。最後のトラックにまとまったゲーム本編の音楽は
つながって収録されているので、CDで聴いても頭出しが気軽に出来ないのです。
しかし、このアレンジのボーカルトラックがどれも秀逸なアレンジで
とにかく耳に残るのが印象的な一枚です。一曲めに収録されていますのは
まだ主人公1人だけのフィールド曲となっているPOLLYANNA(ポリアンナ)の
アレンジであるPOLLYANNA(I BELIEVE IN YOU)です。
ちなみに、ポリアンナとは英語の慣用句的なことばで極端な楽天家といった意味があるようです。
非常に明るくポジティブな一曲。ゲーム本編では一人の寂しさというか
哀愁感も感じる一曲なのですが、このアレンジでは極端な楽天家というような
表現に相応しいような、明るめなアレンジがなされています。ボーカルもいい感じです。
続いて個人的に印象に残っている曲は、ゲーム内で非常に重要な場所となる
不思議な国・マジカントの女王であるマリーがいる王宮で
流れている曲のアレンジであるWISDOM OF THE WORLD。
マジカントとマリーの関係については、壮大なネタバレになってしまうので
ここでは触れることは有りませんが、マリーというキャラの境遇などを考えると
非常に意味深い曲になっていると思います。静謐で神秘的な一曲と言えます。
続きましては、ゲーム最後に訪れる街となるバレンタインにおいて
ライブハウスで主人公たちが踊る曲として流れる一曲のアレンジである
ALL THAT I NEEDED(WAS YOU)です。
バレンタインのライブハウスでしか使われない一曲なのですが、非常に耳に残る一曲の
ボーカルアレンジとなっています。ボーカルのジャーミー・バド氏は男性…ボーイソプラノというやつですね。
高く澄んだ声が、この曲によくあっていると思います。
そしてこのゲームの根幹を担う楽曲で、ゲーム内では散らばった8つのメロディ集めをすると一曲になる
EIGHT MELODIESのアレンジはもはやゲーム音楽が原曲とは思えない一曲です。
この編曲は、大物ミュージシャンであるマイケル・ナイマン氏が行っており
実際の海外の教会で合唱隊で歌われていそうな聖歌のような壮大なスケールの楽曲となっており
もはや神々しさも感じる一曲となっています。またこの曲は、日本の小学校などの
音楽の教科書にも採用がされたということでも有名な一曲です。
アレンジの紹介はここまでにして、サントラでは影が薄いですが
オリジナルの曲の方でも印象に残っている曲をいくつか挙げていきましょう。
まずは、ソフトの電源を入れた瞬間に流れ始めるオープニング曲となる
MOTHER EARTHです。これは田中宏和氏が作曲している曲です。
最初は高めの電子音が寂寥感を醸し出していますが、徐々に温かみのあるフレーズが追加されていき
静かに盛り上がっていく曲となっています。どこか、大地に包まれているというか…
まさにタイトルが表すような母なる地球というタイトルが相応しい一曲だと思います。
実はかなり長い曲で、一周するのに1分半はあるというかなり壮大な一曲。
ゲームの中盤で訪れることになり、唯一の女の子の仲間であるアナ(公式で設定されている名前)が
仲間になる街であるスノーマンで流れているSNOW MANも印象的な一曲です。
確かに冬の厳しさ・寒さを感じさせる音使いでありながら、どこか温かみもある不思議な感覚の曲。
こちらも作曲は田中宏和氏。人気が高かったのか、後のシリーズ2と3でもアレンジを加えて使われています。
学校のチャイムをモチーフとして組み立てられている
サンクスギビングのティンクル小学校で流れる曲である
TWINKLE ELEMENTARY SCHOOLも個人的に忘れられない一曲。
こちらも作曲は田中宏和氏。盛り上がりそうで盛り上がらない感じなのですが
その分聴き飽きない耳に優しい一曲のような気がします。ノスタルジーを感じるのもポイントですね。
あとは、ゲームの最後から2番めの村であるイースターで流れる曲EASTER。
ラスボスによって親が全て連れ去られてしまって子供しか居ない村である
イースターの大人が居ない子どもたちの孤独と寂しさを表したような切ない一曲になっています。
非常にシンプルで30秒ほどの短い曲ですが、印象に残る一曲。
続編の2でも使われている一曲で、こちらも人気が高いのでしょう。
その他にも3種類ある戦闘曲や、アレンジを紹介しているのであえて紹介しなかった
ゲームの方のポリアンナなど、非常に印象深い曲ばかりのゲームミュージックとしては
珠玉の曲が揃うタイトルであるMOTHER。糸井重里の言葉にこだわりを持った
様々な名セリフ・迷セリフが散りばめられた現代アメリカ風の世界観に
マッチした様々な楽曲は、今聴いても色褪せないタイトルとなっています。
現在では、Wii UのVCでやるのが一番簡単な方法になるタイトルでありますが
スイッチのニンテンドーオンラインの特典でも配信があればいいなと思うタイトル。
既に30年以上前のゲームですが、今でも色褪せない部分を持った名作だと個人的に思っています。
ゲームCDは無数にあれど、今回は‥‥‥ちょっと別格の名盤・神盤と言うべき作品ですね!
POLLYANNAの快活さ、WISDOM OF THE WORLDの2分過ぎからの曲調の変化、ALL THAT I NEEDEDのライブハウスでどんどんアドリブ合戦が続くような高揚感、そしてEIGHT MELODIESの全てを包み込む包容力、‥‥‥どれも絶品と言うしかありません。
他の収録曲でも、BEIN’ FRIENDS(3人揃ったフィールドBGM)は「あれ、曲トラックを間違ったかな」と思わせるよどんだイントロから一転、正反対の曲調になる瞬間に鳥肌が立ちます。 MAGICANTのサイケデリックアレンジは、敵キャラの「おにいさん」(もろヒッピー)がアヤシイ葉っぱをきめてる光景を連想してしまいます← そしてFLYING MANの終盤、お気楽な雰囲気が一変し壮大すぎるコーラスが展開される部分は本当に神がかってます。
ほぼ日の「 https://www.1101.com/MOTHER_music/06.html 」
の記事を読むと、鈴木慶一さんが自分の全てを出し尽くして、採算度外視で制作されたようですね。
もはやゲーム音楽のアレンジ盤という枠を超え、「戦後日本が受容してきた欧米ポピュラー音楽数十年分の、日本人の立場からの集大成」と言っても過言ではない密度だと思います。
管理人さんの言われるようにゲームバランスはスパルタ親父そのものでしたが(←)、こんな素晴らしい音楽と共に成長してきた自分たちの世代は幸福だったと、改めて感じます‥‥‥
純粋なゲームサントラを求めると、このサントラは肩透かしになるのですが、アレンジされている楽曲がどれも秀逸で素晴らしいアレンジですからね。鈴木慶一氏も相当にこだわったという話なのは、その作品を見ればわかりますよね。
個人的にはPARADISE LINEとかもインパクトが強かったですね!とにかく一時はMDに落として出かける時に良く聴いていました。本当にどの曲も名曲と言って差し支えのないサウンドトラックだったと思います。1989年という、まだ平成が始まった直後のゲーム業界において、MOTHERの音楽をあの時代に聴けたということが最大の僥倖だったのかもしれませんね。
鈴木慶一氏もたかがゲームと思わずに全力投球されたようで、糸井重里氏の独特な世界、鈴木慶一氏の音楽性、任天堂の丁寧なゲームづくりの全てが融合しての名作だったのでしょうね。もちろん田中宏和氏の存在も忘れてはなりませんが。
ゲーム難易度的には泣かされたゲームでもありましたが、それ故に印象に残っているというのもあるかもしれませんね。