任天堂が運営する、DLゲーム用のショッピングサイトである
ニンテンドーe-Shop。
3DSの頃からこの名称を使い、今ではすっかり定着した任天堂のショッピングサイトである。
他のハードのショッピングサイトは利用したことが無いのでなんとも言えないが
e-Shopについては、基本的なところはしっかりと抑えてあると個人的には思っている。
ただ、ソフトがあまりにも多くリリースされているので、検索機能の充実や
ショップ内でのユーザーによるゲーム評価機能(スイッチのe-Shopには全く無い)の
実装と言ったような要望はネットを見ていると結構目にするサイトでもある。
決して出来が悪いとは言わないが、まだまだ改善の余地もあるのではないか…そんな
ショッピングサイトになっているのがe-shopである。
もちろん、リリース当初から全く進化していないかと言われればそうではなく
例えば、ゲームの詳細検索機能やセールの場所、PCなどからマイニンテンドーストアの方に
ニンテンドーアカウントでログインしてゲーム機本体以外でも購入できるようになっているなど
利便性は徐々に向上しているのも間違いない事実である。個人的にはあまり不満を持ったところはないが
ただよくできる部分はまだあるのでは…という一般的なユーザーと大体同じ感想を抱いているところである。
そんなニンテンドーe-Shopの機能の一つにあらかじめDLがある。
名前の通り、DLソフトを予め購入してDLをしておき、発売日になったのと同時にプレイできるようにする機能である。
現時点では任天堂の注目タイトルはもちろんのこと、サードパーティやインディータイトルでも
積極的に使われている機能であり、特にニンテンドーダイレクトで数ヶ月後に発売するような
任天堂タイトルがダイレクト終了後からあらかじめDLできるようになることは今や恒例となっている。
メリットは以前は発売日と同時にできる(特に人気タイトルは発売日に購入が集中すると、当日購入の場合DLに時間がかかることがあった)
ところぐらいしかなかったが、最近だとインディータイトルなどはあらかじめDLの時に
先行予約割引をしていたりする例もあるので、あらかじめDLの利用価値は人によってはかなり高いとも言える。
しかし、そんなあらかじめDLについても、人によっては不満に思う点が一つあった。
それが一度購入したら、もうキャンセルはできないということ。一度購入を決めたのは
そのまま購入確定となっていたe-Shopの仕様が、本日15時から条件はあるが
キャンセルができるようになることが任天堂より公式で告知された!
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スイッチのあらかじめDLが発売日7日前までならキャンセル可能に!
個人的には一度買うと決めたタイトルが、予約キャンセルできなくても問題はないじゃないか…
と思っていたのだが、去年ちょっとしたキャンセルについての一騒動があったのを覚えているだろうか。
去年9月のニンテンドーダイレクトで発表され、今年の年初に発売されることが決定したタイトルである
FEとアトラスがコラボしたWii Uで発売されたゲームのスイッチ移植版である#FEアンコールでその騒動は起こった。
このゲームは、日本だけでなく海外でも発売されているタイトル。
その際、オリジナルのWii Uで発売された日本版と海外版ではセクシャル的なところで
規制がかかっており、日本と海外での表現が違っているタイトルであった。
ニンテンドーダイレクトで初めて告知がされた時は、元となっているのが日本版なのか海外版なのかという
言及がされておらず、ゲームメディアなどがスクリーンショットから海外版準拠なのではないか?
と言ったことを報じ、その後任天堂から公式の声明で海外版の
『Tokyo Mirage Sessions #FE』のほうに新要素を加えての
アンコール版であるということが正式に後出しで告知された経緯がある。
購入に必要と思われる情報の後出しが行われてしまったことによって、任天堂は異例の
あらかじめDLのキャンセルを希望者には受け付けるという対応を取り、任天堂らしからぬ
一騒動が、このタイトルにはあったということになる。しかし、この#FE以外は任天堂は
あらかじめDLの予約キャンセルという対応は行っていなかったのだが、海外では
消費者の権利を守る観点から、この予約キャンセルができないのは違法ではないのか?といった
裁判が行われており、任天堂側が勝っているという事例が出ていた。
任天堂がニンテンドーeショップにおいて、予約購入のキャンセルは不可としているポリシーについて、ノルウェーとドイツの消費者委員会がEU法に違反していると訴え、任天堂を相手取り裁判を起こしていた。これについて昨年12月、フランクフルト地方裁判所は任天堂側の主張を認める判断を下していたことが明らかになった。ノルウェーメディアPressFireが報じている。
ノルウェー消費者委員会は2018年ごろから、予約キャンセルに関する各ゲーム配信プラットフォームのポリシーをチェックし、消費者の権利が守られているかを報告してきた。たとえばSteamでは、予約段階ではいつでもキャンセル可能。またリリース後でも、購入から2週間以内かつ2時間未満のプレイであれば返品可能としている。PlayStation Storeでは、コンテンツの主要部分がダウンロードされていなければという前提で、いつでも予約をキャンセルできる。
Microsoft Storeを含む主要各プラットフォームは、条件や手続き方法はさまざまであるものの予約キャンセルに対応している一方で、ニンテンドーeショップでは対応していない。これについて任天堂が、いかなる法律にも違反していないと反論したことで、同委員会はドイツ当局とも協力し、欧州任天堂が拠点にするドイツ・フランクフルトにて訴訟を起こすに至った(関連記事)。
裁判所は、任天堂の主張を認めた上で両消費者委員会の訴えを棄却した。その主張はというと、予約購入した時点でユーザーはあらかじめダウンロードによってコンテンツを受け取っており、これによってサービスが提供されたというものだ。EU法では、キャンセルできる権利を失うことに同意したうえで契約を結んだ場合、そのサービスの提供が開始された時点で自動的に同権利は失われるとのこと。任天堂の主張はこれに沿ったものであり、合法であると判断された。
中略
このように、任天堂側の勝利となった今回のニンテンドーeショップにおける予約キャンセルをめぐる裁判だが、まだ両者の争いは続くようだ。主に焦点となるのは、コンテンツの事前ダウンロードによってサービスの提供を開始したと見るのか、発売日までロックされプレイできないためまだ開始していないと見るのかにありそうだ。先述したPlayStation Storeでも、コンテンツの主要部分がダウンロードされた場合は予約キャンセル不可としており、デジタルコンテンツならではの概念が関わっているのだろう。Dünkel氏は、上級審の判決を見るまでには、最大で1年半はかかるとの見込みを述べている。
というわけで、主張については理解できないわけでもないものの任天堂側が勝訴となっていた
あらかじめDLの予約キャンセル不可だったe-Shopが本日15時より、発売日7日前までという
条件付きではあるものの、予約キャンセルがあらかじめDLでできるようになったことが任天堂より公式で告知されている!
[お知らせ]本日、9月1日(火)の15時より、ダウンロードのソフトの予約購入が新しくなりました。くわしくはこちらをご覧ください。https://t.co/0IndErfGJk
— 任天堂株式会社 (@Nintendo) September 1, 2020
任天堂が今までe-Shopでキャンセルをできないようにしていた理由については
明言がされていないが、#FEの対応からキャンセルという仕組みについては
その気になれば対応はできることは明らかになっていたわけで、海外での訴訟などの例からみれば
仕組み的にできるのであれば、余計な係争リスクなどを引き起こすことは賢明ではないと
任天堂側も考えたのかもしれない。いずれにせよ、ユーザー側としては追加情報からの
キャンセルが新たに選択肢として増えた事自体は何もマイナスではないことから歓迎すべき仕様変更といえるのだろう。
注意点としては、発売7日前になると決済が完了してキャンセルができなくなるという点であろうが
キャンセルができなくなっても以前の仕様と同じというだけなので、今まで通りの使い方でなんら問題はないだろう。