本日、任天堂より2017年度の4Q決算が発表された。
今日だけで、当ブログでは決算関係の記事を幾つか更新している。
年度末の決算ということもあって、今回の決算報告は大きなニュースとなる。
2017年度は、スイッチが出て丸々1年(20174/1~2018/3/31まで)の
初の決算ということで、今までの1・2・3四半期の結果から、良い数値が
出るであろうことは容易に想像できたが、久しぶりの大台に乗ったようである!
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2017年度の任天堂の売上高が1兆556億円に!営業利益も1775億と絶好調!
というわけで、任天堂が公表した資料は以下のPDFである。
この資料より、2017年度の売上高などをまとめた部分の表をキャプチャーしたのが以下の画像である。
というわけで、2017年度の任天堂の売上高はおよそ1兆556億となった。
前年2016年度がおよそ4890億だったため、なんと前年から2倍以上の売上高を達成している。
営業利益もおよそ1775億ということで、前年がおよそ293億なので、こちらは5倍以上の好調さだ。
娯楽という産業が如何に浮き沈みが激しいかがわかるのと同時に、きっちりとヒットを出せば
凄まじい営業利益を上げる任天堂の強さを垣間見た。ちなみに、売上高が1兆円を超えるのは
2010年度以来、7年ぶりとなる。任天堂の売上高推移は以下の2つの図を参照にしていただきたい。
出典:https://financial-statements-analysis.blogspot.jp/2014/06/blog-post.html
出典:https://kabutan.jp/stock/finance?code=7974&mode=k
さすがに、Wii・DSが全盛期だったころには及ばないが
それでも、今のご時世でこれだけの売上を上げるのはやはり凄まじいとしか言いようがない。
決算の発表とともに、もう一つ大きなニュースが任天堂から発表されている。
君島達己社長が退任。後任に古川俊太郎取締役が社長に就任。君島氏は相談役に!
決算の発表とともに、任天堂の社長の交代についても発表が行われた。
岩田前社長の後を継いで、社長に急遽就任した君島達己氏が
社長の座を退く、古川俊太郎取締役が後任の社長になることが公表された。
任天堂は26日、古川俊太郎取締役(46)が社長に昇格する人事を発表した。君島達己社長(68)は相談役に就く。経営の若返りを図り、変化の激しいゲーム業界で継続的にヒット商品を生み出すための体制変更を進める。
古川氏は経理部門が長く、2015年に経営企画室長に就任。ゲーム機やソフトの販売計画作りにも携わり、17年3月に発売したゲーム機「ニンテンドースイッチ」のヒットに貢献した。ドイツにある欧州統括会社に約10年間駐在し、海外経験も豊富だ。
同社はゲーム機やゲームソフトの売れ行きで業績が大きく左右される。新商品の投入時期の策定など効果的な販売計画作りに精通した古川氏を起用し、業容拡大を図る。
君島氏は15年に岩田聡前社長が死去したことを受け、急きょ社長に就任。低迷していた業績をスイッチの販売で立て直した。18年3月期の連結営業利益は前期比6倍の1776億円になった。
君島氏は経営層にはゲーム購入者の中心となる若者に近い感覚が必要との見方から、社長就任以降は世代交代を模索してきた。業績が回復基調に入ったタイミングでの社長交代が最適と判断した。執行役員の数も増やして40代の若手を引き上げる。
古川 俊太郎氏(ふるかわ・しゅんたろう)94年(平6年)早大政経卒、任天堂入社。15年経営企画室長、16年取締役。東京都出身。
引用元: 任天堂社長に古川氏、君島氏は相談役に
君島氏は、スイッチを成功に導き、勇退と言ったところだろうか。
古川氏は、あまり今まで前に出てきたことがない人ではあるが
決算のプレゼンテーションの資料などに、名前を見ることが出来る。
もっとも、君島氏も相談役にはなるということで、任天堂の社内的には
大きな変革ではないのかもしれない。古川氏は46歳ということで
任天堂という会社としては、確かに記事内にもあるように若手だが
岩田前社長が就任した時は、42歳だったため、特段若いということでもない。
経歴を見る限りでは、経営に関するプロフェッショナルといったイメージで
君島氏の後任としては相応しいだろう。ただ、岩田前社長のように
積極的にユーザーの前に姿を現すということはあまりないのではないだろうか。
特に任天堂の体制的には大きな変化は無いのでは?と予測する。
それにしても君島氏の社長業務の引き継ぎについては、ほぼ完璧だったと言っていいだろう。
元々、かなりの経験のある人で、あまり心配は無かっただろうが、それにしても
岩田前社長の遺した路線を、そのまま引き継ぎスイッチのヒットを導いた功績は称賛されてしかるべきだろう。
引き際も見事と言った感じで、本当に淡々と仕事をこなすプロフェッショナルな魂を感じた。
今回の退任にあたって、WSJの望月氏が、簡単にではあるが君島氏の為人をツイートしている。
任天堂の君島さん。記者やアナリストの間では去年の秋くらいから後任に関する質問が会見で出るなど、ある程度予想されていた動きでした。あまり自らを積極的に語る人では無いのですが、Switchの成功を早くから確信し、不安がっていた社内の一部を鼓舞したのは彼だったと伝え聞いています。
— Takashi Mochizuki (@mochi_wsj) 2018年4月26日
また、サードパーティーはじめ外部からも信頼がおける人、というのもよく聞いていました。岩田さんがMacBookだったのに対し君島さんはLet's Note。いつも重そうなカバンを持ち歩いているのが印象に残っています。ありがとうございました。まだ2ヶ月ありますけど。
— Takashi Mochizuki (@mochi_wsj) 2018年4月26日
また後任の古川氏にしても、任天堂イズムを引き継いでいく決意を持って業務に当たる気概を見せているとのこと。
任天堂の記事を書きました。かねてから古川さんを後任候補として見てきた君島さん。古川さんの合意形成能力を高く評価しました。企業の成長は一人の天才によってもたらされるものではなく、全ての人間の結束が大事だと。全員をまとめる力、そして信頼を積み上げてきたと。https://t.co/yCy7L3Qvl7
— Takashi Mochizuki (@mochi_wsj) 2018年4月26日
市場関係者も今回の人事を概ね好感しているようです。「人の話によく耳を傾けてくれる」とはよく聞こえてくる話で、こんなところでも古川さんの合意形成能力をうかがい知ることができます。また、経理・管理畑出身ですがかなりのゲーマーで、業界やゲームにも精通しているとの声が多く聞かれました。
— Takashi Mochizuki (@mochi_wsj) 2018年4月26日
人事を君島さんから古川さんに伝えたのは今月に入ってからだったそうです。「次は君にやってもらう」というシンプルな言葉だったそう。Switchの好調もあり、かねてから考えてきたタイミングより少し早いタイミングでバトンタッチできた、と君島さん。長くドイツに赴任、英語も堪能です。
— Takashi Mochizuki (@mochi_wsj) 2018年4月26日
また、古川さんは会見でかねてからの任天堂の方向性を踏襲する意思を明確にしました。「任天堂は生活必需品を作っているのではない。任天堂にしかできない面白さや驚きを与えていきたい。それができなくなったら企業としての存在意義がなくなってしまう」と。
— Takashi Mochizuki (@mochi_wsj) 2018年4月26日
今回の人事は恐らく前々から決まっていたようで、君島氏のお眼鏡にかなった
古川新社長が、新たに任天堂を導いてくれると思う。2018年度の任天堂にも期待したい。
君島社長、本当にお疲れ様でした。