岐阜に会社を構える、中堅和サードの日本一ソフトウェア。
PS4の前半頃までは、PSメインでゲームを発売しており
任天堂ハードには時折、思い出したかのようにゲームを出していたぐらいの
PS寄りの会社であったが、スイッチ以降は、スイッチロンチにリリースした
ディスガイア5が、後発マルチでありながら、好評を博し、全世界で20万本出荷を越える結果を残した。
【完全にPS4版超え】魔界戦記ディスガイア5、スイッチ版の全世界累計出荷が20万本を達成!
スイッチである程度の手応えを感じたのか、それ以降の新作タイトルは
PSとのマルチが多くなり、ニンテンドースイッチに向けて後発マルチの
タイトルを移植したりと、スイッチにも積極的な展開を初めた。
極めつけは、ファルコムの主力IPであるイース8のスイッチへのパブリッシングを
提案し、実際に発売にこぎつけたということで、ここのところはスイッチ関連の動きも目立っていた。
今の和サードには珍しく、既存IPの続編を出すよりは新規IPを出すことを
重視している会社のようで、スイッチ以降もいくつかの新規タイトルを開発・リリースしてきたが
常に販売価格が強気であり、ゲームとしては悪くはないものの、販売価格に見合わない
ボリュームが多く、もっと値段の付け方を考えれば、もうソフトも売れるだろうに…
と思われることもしばしば。実際、最近発売しているCS向けのタイトルは
PS4・スイッチともに売れ行きは芳しくないタイトルが多く、正直その売上で
開発費を回収できているのか?と現在は疑問に思えるような有様となっている。
最近は、SIEの子会社として設立されたフォワードワークスより
魔界戦記ディスガイアのスマホゲーをリリースしたものの、サーバーの不具合により
少しだけプレイできたあと、現在はプレイが全くできなくなっている。
日本一ソフトウェア側としては、開発に費用をかけたものの、全く現在は回収できない
状況が続いており、いつ再開するかもわからないスマホの魔界戦記ディスガイアは前途多難である。
この現状が恐らくかなり影響しているのだろう。日本一ソフトウェアが
MSワラントという投資家からすれば禁じ手にも近い手で資金繰りを行わなければ
会社が立ちゆかないぐらいに追い詰められている模様である。
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株価下落必至のMSワラントを日本一ソフトウェアが発行することを決定。得た資金は開発者への賃金などに充てられることが明らかに。
日本一ソフトウェアが資金繰りに困ったため、MSワラントを発行したという
情報のソースは以下のツイッターのつぶやき、日経新聞のソースで確認が出来る。
日本一ソフト、MSワラント発行、37.5万株分、下限行使価額920円、前日終値90%に修正、大和証券に割当、開発を行うスタッフの人件費などに充当
— ありゃりゃ (@aryarya) 2019年5月17日
投資について縁がない人にとっては、MSワラントと言われても
恐らくイメージがつかみにくいと思われる。そこでMSワラントというものが
どういうものなのかを、わかりやすく解説したページがあったので以下に引用する。
上場企業が資金調達をする方法は、一般的に2種類あります。
1つは、新たに株を発行して投資家から資金を集める「公募増資」、もう1つは「銀行からの借り入れ」です。 しかし、赤字が続く企業は信用力が落ちているので、これらの方法では資金調達ができません。そこで、やむを得ず「特典をつけて安くするから、株を買ってください!」といって、買い手(引受先)がお得になる条件をつけた、株を買う権利を発行します。これが「MSワラント」です。タイトルに「悪魔の増資」と書きましたが、最大の理由は、すでに投資をしている株主が損をする増資だからです。そして、引受先である証券会社などが、確実に利益を得られるようになっています。投資家にとってデメリットが多いので、「悪魔の錬金術」ともいわれています。
MSワラントの仕組み
MSワラントとは、「Moving Strike Warrant(ムービング・ストライク・ワラント)」の略で、日本語に直すと「行使価格修正条項付新株予約権」です。要約すると、「前日の株価終値よりも安い価格で購入できるように、毎日購入価格を修正する新株予約権」となります。
つまり、前日終値が1,000円の日は900円で新株を購入でき、前日終値が900円に下がってしまったときは810円で新株を購入できる、というしくみです。MSワラントを引き受けるのは主に証券会社なので、証券会社にとって有利な条件を付けたものとなっています。
それでは、MSワラントを発行する具体的な手順の例を見ていきましょう。
①株価1,500円の会社が、「発行価格決定日の株価×0.9」で、証券会社に対してMSワラントを発行することを発表
②証券会社はMSワラントで手に入れる予定の新株1,000株分だけ空売りして、MSワラントの発行価格決定日までに株価を1,500円から1,000円に下げておく
③発行価格決定日の株価1,000円をもとに発行価格が900円に決まり、証券会社は900円で新株1,000株を手に入れる
④空売りの返済に、900円で手に入れた新株を充てる
⑤証券会社は、600円(=1,500円 – 900円)×1,000株=60万円の利益が手に入るこのように、証券会社は最終的に60万円分の利益を確実に手に入れることになります。
既存株主にとっては、②のタイミングで株価が1,500円から1,000円に下がるため、1,000株持っていた場合には、500円×1,000株=50万円もの損をします。さらに、証券会社が新株を取得した直後に株式市場で売ってしまうため、株価が下がってしまいます。極めつけには、発行済み株式数が増えることで、「1株あたりの利益」が小さくなってしまう(希薄化する)ため、「1株あたりの利益×市場の期待(PER)」で計算される株価が下がっていきます。
引用元: 悪魔の増資!MSワラントの仕組み
スタッフに払う金額を捻出するために、手っ取り早く資金を得るために
MSワラント発行を日本一ソフトウェアが決定したということ。
上記の引用にある通り、MSワラントを行うとまず確実に現在の株価が下落する。
当然ながら、既存の株主は損をするということになる、本来であれば
会社の業績が上がると信じて、株という形で資金を提供してくれた株主を
裏切る行為というのは間違いない。そして、この決定に失望した投資家は
株を売り抜けることになり、ますます株価の下落が起こるということになる。
儲かるのは証券会社のみで、投資家は株式の下落、日本一ソフトウェアは株主からの
信用を失うという、まさに証券会社だけが得をする(見返りはまとまったお金)
悪魔の錬金術と言えるのが、このMSワラントというわけである。
ただでさえ、会社の信用を毀損するMSワラントだが、この資金はスタッフに
支払う分などに充てられるという点が、更にまずい。当然ながら日本一ソフトウェアは
スタッフに払う賃金分の利益すら確保出来ていないということになり
これで、スタッフに支払う分を捻出したあとに、スタッフが残ってくれるとは限らない。
日本一の資金繰りの危なさから、日本一を見限って開発者も辞めていき
まともにソフトを作れる人材も居なくなってしまう可能性も大いにある。
そうなると、日本一ソフトウェアは最悪倒産という可能性すらもあり
今後どうなっていくのか、予断を許さない状況になっているのではないかと思う。
また、日本一ソフトウェアはアメリカにNISを持っており、そこでは和サードのソフトなどの
流通・販売などの業務も行っている。もし、日本一ソフトウェアが最悪倒産とでもなれば
海外での販路が断たれる、和サードも出てくるかもしれない。
一体日本一ソフトウェアは今後どうなっていくのだろうか…?