日本では90年台の終わり頃から一般的に爆発的に普及し始めた機器で
現代社会にはもはや無くてはならない代表の一つである携帯電話。
ポケットに入るぐらいの、文字通り携帯というサイズになったのは
最初はPHSから主に始まり、その後ガラケーと呼ばれる日本では
折りたたみ携帯と呼ばれる携帯が永らく主流となって、大手の会社が様々な機種を販売していた。
ちなみにガラケーのガラはガラパゴスの略で、携帯電話に様々な電話とは関係ない機能…
すなわち、携帯をお財布代わりに出来たり、ゲームが出来たり、インターネットが出来たり…。
こういったものが、日本独自の進化であったために、ガラパゴス諸島に日本スタイルの携帯が
なぞらえられ、最終的にガラケーと呼ばれるようになった…というのはこのブログ的には関係のない雑学。
さて、このガラケーも2011年頃から、次世代の波が押し寄せて
今では基本的にスマートフォンが一般のものとなった。
今ではガラケー利用者が少数派となり、大体の人はスマホを利用している。
スマホは、かつての携帯電話と比べると性能が大幅に高くなっており、ガラケー時代にもあったが
より進化した、スマートフォンでのゲームというのが、日本でも海外でも台頭するようになった。
黎明期こそ、様々なゲームがリリースされ、個性があるような状況であったが
現在は、このスマホゲー…特に日本では、いわゆる基本無料で始められるゲーム内課金を
主にした、俗にいうF2Pと言ったものが、今はメインになっている。
CSゲームと違い、ゲーム性はあまりなく、似たり寄ったりのシステムを搭載しているゲームが多いと感じる。
なので、差をつけるとすれば、例えばキャラクターのデザインだったりとか、有名なIPのキャラや世界観を流用して
スマホゲーに落とし込んだ作品だとか、そんなものが現在の主流となっている。
もともとスマホゲーは、そのゲーム内課金があることから、一度当たればかなりの収益を企業にもたらすものであった。
特に非常に人気のある一部のゲームでは、重課金者と呼ばれるようなユーザーがごく一部で存在し
全体の売上額のほとんどを、その重課金者が占めていると言ったデータが既に上がっている。
なので、現在のスマホゲーは、いかにその重課金者を取り込むことが出来るかが成功の鍵となっている。
ところが、昔は、一度当てればかなりの収益が見込めるコンテンツだったが、一攫千金を夢見てスマホゲーに
参入する会社がどんどん増えてきており、現在は既に飽和状態になりつつある。
スマホという、CSハードとは違ってほとんどの一般庶民が持っていて普及率は比べ物にならないほどのものであるにもかかわらず
サービスイン時からのスタートダッシュに失敗すると、そのまま少しサービスを展開しただけでその後はそのまま
サービス終了になってしまうというゲームが非常に増えてきている。その中で重課金者を獲得できた
一部のコンテンツだけが生き残っている、いびつな市場になってきている。
メーカーとしても、多くのユーザーを獲得するために、現在は宣伝攻勢を強めたり、またゲーム自体も
有名なイラストレーターを起用するなどして、制作費が相当かかるのが当たり前になってきている。
ゲーム業界を見ていると、そのビジネスモデルは徐々に破綻に向かっていると感じるところがあるのだが
どうやら、その危機感は経営者にとっては相当なものになってきているようだ。
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ガンホー社長「今のスマホゲーはブラックオーシャンとなっている。新規作品もすぐに消える」
今回のスマホゲー業界全体の状態に、危機感を覚えているコメントをしているのは
パズドラで一時は、スマホゲーをメインにする会社の中でも莫大な利益を出したガンホーの社長である。
以下に、ガンホー社長がコメントした内容を引用してある記事を紹介する。
「スマートフォンゲームは今、レッドオーシャンを超えたブラックオーシャンになっている。新規タイトル(作品)を出してもすぐに消えてしまう」
大ヒットゲーム『パズル&ドラゴンズ』を手掛けるスマホゲーム大手ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜社長は、7月末の決算説明会で、スマホゲーム市場の厳しさをそう表現した。
■主要企業の7割は減益・赤字に
森下氏は数年前から同様の発言を繰り返してきたが、いよいよスマホゲーム市場の“ブラック化”が本格化してきた。それを象徴するのが、スマホゲームを展開する主要24社の直近四半期(3カ月間)の業績である。全体の75%にあたる18社が前年同期比で減益、もしくは赤字となった。
一方で増益となった6社は、新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が牽引する任天堂や、家庭用ゲーム機向けソフト『モンスターハンター:ワールド』がヒットしたカプコンなど、スマホゲームへの依存率の低い会社が大半だ。
スマホゲームが苦戦する背景には、市場が成熟したことがある。2012年に話題となった『パズドラ』の空前の大ヒットから約6年半が経過。右肩上がりで1兆円規模に成長したスマホゲーム市場の成長は鈍化傾向にある。新作のヒットが出にくくなり、開発コストは右肩上がりで上昇。結果、各社のスマホゲーム事業の採算が悪化しているのだ。
中略
■開発費は黎明期の5倍以上の水準に
新作のヒット率が下がる一方で、ゲームに求められる品質は高まり、開発費の高騰が止まらない。黎明期は1億円以下が多数だった1本当たりの開発費は、今や5億円以上になることも珍しくない。
売り切り型のゲームとは違い、運用にも人手と費用がかかる。別のスマホゲーム会社幹部は「コストに比例して、収支のハードルも年々上がっている。今はオリジナルで月商3億円、IPモノなら5億円のタイトルを毎年コンスタントに出して、ようやく採算が合う」と難しさを語る。
確かに現状、今の日本のゲーム業界を見るとスマホゲーの市場はCSゲームの売上の3倍ほどの売上を上げており
今の日本のゲーム産業では、スマホゲー業界が一番の利益を上げているとは断言できる。
しかし、記事内にもある通り、2匹めのドジョウを狙って様々なメーカーが参入した結果
今のスマホゲー業界は非常に厳しい状況に陥りつつあると言える。CSゲーム業界も一度は通った道である。
黎明期に早々にヒット作を出したメーカーに続けとばかりに、様々なメーカーが一攫千金を夢見て
この業界に参入したわけであるが、記事内にも言及があるが、基本CSの買い切り型のゲームとは違って
サービスが続く限りは、新たなキャラクターの追加だったりとか、イベントの開催だったりとか
あるいは、サーバーの維持費など、CSハードのゲームと比べて基本的にコストがかかるのがスマホゲーである。
となると、一定の体力がある企業でないと、その収支のバランスが少し崩れて赤字の方によってしまっただけで
ゲームのサービスを終了させるという判断をせざるを得ないという状況になる。
ユーザー側としても、せっかく課金をしても、サービス自体が終了してしまえば今までの課金は全てご破算になってしまう。
となれば、既に何年も続いていて、ある程度の実績がある…すなわち、運営が安定した、早々に終わらないようなサービスにしか
人は集まらないということになる。ガンホー社長が新作が出てもすぐ消えていくというところにはこういった背景があるのは間違いない。
中小の会社の無名の新規作品に、人が集まらないのは当然で、新作がどう考えてもヒットしない市場であるというのが
まず今のスマホゲーの常識と考えるのが間違いないと思われる。新規作品でヒットさせたいのであれば
初期の宣伝を相当にゴリ押ししたり、あるいは有名な絵師や業界での有名人を起用したストーリー作りや話題性を使って
サービスの注目度・露出度を上げていくしか無い。例えば任天堂は、何年も継続してきたことによって膨大な価値をもった
IPを使ってスマホゲーをリリースしたことから、今までリリースしてきたタイトルは概ね成功を収めているが
それは任天堂が、特別なのであって、これからスマホゲーを開発して新規参入しようとするメーカーにはそんな知名度も
信頼もないわけで、こうなるのは当然と言える。結果として、新作は今後もあまり活発には出ず、また出ても
すぐにサービスが終了していくスマホゲーがどんどん出てくることだろう。基本的に博打に打ってでなければ行けない業界が
まさに今の日本のスマホゲー業界といえ、今後一定の額から売上は伸び悩み、最終的にはかつてのCSハードが通った道であるように
スマホゲーの売上自体が大きく落ち込む時が来るであろうと、個人的には予想している。
現時点では、明るい未来は見えないスマホゲー業界。今後一体どんな変遷をたどっていくだろうか。