先月、ゲーム業界全体でみても、異例の話で

一般的にも話題騒然となった、任天堂が白猫プロジェクトなどの

人気アプリを配信するコロプラに対して仕掛けた特許侵害裁判。


【こりゃアカン】白猫プロジェクトなどを運営するコロプラ、任天堂から特許侵害で訴えられる!


任天堂はハードホルダーでもあり、ファミコン時代から数えて35年ほど

CSゲーム業界で、様々なハードを開発し販売してきた。

その結果、特に海外で特許ゴロなどと呼ばれる輩から狙われる立場にあり

新たなゲーム機が発売されると、ほぼ必ずと行っていいほど

特許ゴロからの特許侵害裁判を仕掛けられるのが通例となっている。


【予定調和】アメリカ・Gamevice社がニンテンドースイッチを特許侵害として訴訟。販売差し止めを要求。


なお、このリンク先の裁判は既に原告側が自発的に訴訟を取り下げていることも、つい先日記事にした。


【また勝ったのか】ニンテンドースイッチの特許侵害を理由に販売差し止めを求めて訴えたGamevice社が訴えを取り下げていたことが明らかに!


任天堂は、この手の裁判を仕掛けられるのは慣れているため

徹底的にそのアラを予め潰しているようで、任天堂がこの手の裁判で

一方的に負けた…というような話は殆どなく、悪くとも和解と言った形で

決着することがほとんどである。そのため、最強任天堂法務部といった

半ば都市伝説的な言われ方をしている。


さて、このように裁判を仕掛けられることは非常に多い任天堂だが

翻って、自分から裁判を起こすということは非常に稀である。

昨年に、マリオカートのコスプレなどを使って、東京などで

公道カートを貸出している株式会社マリカーを訴えたことがあったが

ゲーム本業での、訴訟というのは殆どない。

そのため、コロプラが任天堂に起こされた特許侵害裁判というのは

実は任天堂側からゲーム関係の会社に仕掛けられた、初の裁判であり

そういった事実もあって、コロプラの裁判は非常に注目が集まったという面がある。


訴えられたことは、被告側になるコロプラがHP上で公開したもので

そこから発覚し、発表の当初は、コロプラ側を擁護する向き…

すなわち、任天堂は特許ゴロという非難を向ける者もいた。

しかしどうやら、その認識は改めなければいけないようだ。

今回の特許裁判について、任天堂がコロプラを相手取って訴えた

特許侵害の項目内容が、かなり衝撃的なものであったことが判明したようだ。


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こんな特許まで…任天堂が抑えている特許の凄さに戦慄。

去る2月16日に、今回の特許侵害裁判の第一回口頭弁論が東京地裁で行われていた。

コロプラと任天堂の関係者が、裁判所で顔を合わせて、お互いの主張をまずは行ったわけだが

東京地裁で行われたその口頭弁論の傍聴席は満席であったということが報告されている。

その内容について、東京地裁にて情報が公開されているとのことで、その内容を

簡潔にお馴染みWSJの望月記者が、ツイッターにて報告を行っている。



この報告は5まであるが、その中に以前の記事で報じられていた

任天堂がコロプラに対して、特許侵害だと訴えた5つの技術についての

詳細(特許番号)の記載がある。その情報を元に、特許の専門家…

すなわち、弁理士と呼ばれる専門家が、特許侵害があった部分の

内容の詳細を簡潔に説明した記事が2つ、アップされているのでリンクを貼る。


任天堂が対コロプラ特許侵害訴訟で使った特許番号が明らかになったので中身を解説します(前半)

任天堂が対コロプラ特許侵害訴訟で使った特許番号が明らかになったので中身を解説します(後半)


最初に明らかになっていたと思われる、侵害部分の他の項目も明らかになったわけだが

これはとんでもない内容の特許ばかりである。正直、こんな特許まで任天堂が抑えているのかと戦慄するような内容だ。

特に印象に残ったのは、上記リンク先の前半のほうに記載があった以下引用特許。

特許4010533号「ゲーム機、電子機器、および省電力モード管理プログラム」

(特許解説略)

なぜか請求項1(プログラムクレーム)ではなく、請求項11(装置クレーム)が使われています。コロプラはゲーム機を製造しているわけではないですが、スマホを装置クレームに記載したゲーム機として機能させるプログラムを提供しているので間接侵害を問える、かつ、装置クレームの方が侵害を立証しやすいからかもしれません。

この発明のポイントは、スリープモードから復帰した時に、いきなりゲーム画面に戻るのではなく、一度確認画面を出して本当に戻ってよいかを確認してからゲーム画面に戻るということです。スマホ(や携帯ゲーム機)がポケットの中などで勝手にスリープ解除され、ゲームが始まってしまうのを防ぐ発明ということになります。

いずれも、いかにもありそうだった(しかし、少なくとも審査では新規性・進歩性ありと判断された)ということで結構強力な特許に思えます。こんなの当たり前だ(特に後者)と思う方は出願日に注目してください。初代iPhone(2007年)よりもはるかに昔です。

管理人はスマホゲーは殆どやらないが、この手のシステムは普通に組み込まれているのは当たり前だと思う。

この手の仕組みがなければ、勝手にゲームがポケットやカバン内で起動して意図せずゲームが進行しているということは

可能性としては十分ありえるので、この機能が無いと困る場合も非常に多いだろう。

こんな特許を任天堂が、既に2001年の段階で取得していたというのも驚きであるし(GBA用だろう)

逆に、今までこのような特許を持ちながら、他の会社が使って特に特許使用料などを徴収していない(徴収していたら、小さな会社などはこの手の機能を使用しないだろう)と思われるので

今回コロプラをこの特許侵害で訴えたということは、よほど腹に据えかねることがあったのだろうと想像が出来る。

コロプラが任天堂に対して、どのような態度を取ったかは分からないが

話し合いは、前述の口頭弁論で1年半実は行われていたという事実や

任天堂からコロプラに対しての、最後通牒ともとれるような発言も飛び出していたようである。



こういった特許での裁判も行っているということは、コロプラが勝つことはほぼ確率的にありえないだろう。

仮にこれでコロプラが勝訴すると、他のソシャゲメーカーはコロプラに対して特許料を

支払わなければいけなくなる可能性もある。なぜなら、コロプラは以前に特許ビジネスについて

肯定的に捉えている発言を公で行っているからである。実際にVR関連では特許を取りまくってもいる。

そういうゲームチェンジが、また起きるかもしれなくて、しかもその時に発生してしかるべき特許が、まだぜんぜん取られてないかも知れないよってことですよね。これって、宝の山って話ですよね。

佐竹 そうですよ。

角 じゃあ今、体力あるところがアプリの特許なんかを、「インターフェースが変わったらこうなるだろう」と考えてバンバン取りまくったら、次の覇者になる可能性があるってことですよね。

佐竹 だから、怖いですよ。今、流れに乗っているWeb企業は逆に気をつけないとヤバイ。特許にあまり関心がなかったから。

角 コロプラはどうですか?

佐竹 ここ数年、どんどん特許を取っています。中でも、VRの分野での取得が多いですね

任天堂がゲームの発展を考えて、ゲーム事業を行っているのに対して

コロプラの関係者の上記対談を見る限りは、あくまでビジネスライクな視点での特許申請の話を行っている。

となれば、もしコロプラがこれらの特許を抑えれば、特許ゴロになる可能性は非常に高いと言えるだろう。

企業の最終目的は利益を上げることにはなるので、コロプラノ考え全てを否定はしないが

ただ、コロプラが特許ビジネスを本格的に行えば、当然困るのは他のゲーム開発会社である。

今回の件で、同業者でコロプラの味方をする会社はまずいないのではないだろうか。

裁判はこれから続くが、今回の内容をみて、コロプラの勝ち目はほぼ無いだろうと確信するに至った。

一体、コロプラは何をやらかしたのだろうか。


おまけ

こちらの記事も読むと、理解が深まるかもしれないので参考リンクとして紹介。

ゲームの特許は「仁義」によって守られていた?【オールゲームニッポン】


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